「まっすぐに立つ」二つの意味
私は、授業の着付けの中でも、着こなし・立居振舞の中でも、PTAの作法の講習の中でも、「まっすぐに立つ」という言葉をよく使います。
美しい着こなしのコツは、姿勢よくまっすぐに立つことが基本です。
着付けの授業では、腰紐をする時、上前を右手のひもでおさえたら、右手はそのまま、左手が左脇へいくまで待って、左右同じところにきたら、体をまっすぐ両方の手を後ろに持ってきてもちかえて・・・。お太鼓の枕をつける時、鏡で長さや柄を確認しても、体につけるときは鏡を見ないで、体をまっすぐ、左右の手を左右同じ高さに持ってくる。垂れの長さも体をまっすぐにして指一本分・・・。毎回着付をしていくといつの間にか姿勢がよくなります。
美しい着こなし、立居振舞の授業では、モデルを養成をしておられる方から教わったことを一般の生徒さんにも指導しています。モデル希望で入ってきた人にはじめにすることは髪を一つに括って上に持ち上げ留めて、首周りを全部見せて何処から見られてもいいように、まっすぐに立つことから始まります。
美しい立ち姿の基本
1.ひざの後ろをおもいきり伸ばす。
2.胃をあばらの中に入れ込むような気持ちで。
3.天井からひもで頭を引っ張られている感じで。
4.顎が前に出ないように引く。
5.その状態を保ちながら肩の力を抜いて立つ。
6.横から見た時、頭の先から足までまっすぐになるように。
横から見て頭が前に傾いている人が案外多いようです。普段から注意しましょう。
着物でも、洋服でも美しい着こなしは、まっすぐに立つことから始まります。
またこのことは、若さ・老いにも関係します。加齢による変化は仕方ないものがありますが、姿勢だけは毎日ちょっとだけ気をつけることで大分変わります。着物を着て帯を結ぶことは、日常使わない部分、手を後ろに回すことにより、いい結果が生まれます。
教室では、着こなし・立居振舞・マナーのところで、モデル養成からから取り入れた、美しいウォーキング・ 手・足・体のひねり・等々、細かいチェックを入れた写真の時のポーズのとり方も勉強しますがここでは省略します。これはとても好評で、皆さんご自分の素敵なきもの姿に満足し、ますます着物を好きになる方が多いようです。
もう一つの意味
もう一つまっすぐに立つ大切なことがあります。
自分で立つ、「自立」は独立とか、ひとり立ち、自分の力で生活する、という意味に多く使われますが、その基本は、「自分で判断し、行動し、そのことに責任を持つ」ということであり、自分の力で立っているように見えて、実はまわりの多くの人の力を借りていることを気付くことです。家族と同居していても必要なことであり、これができることが本当の意味で大人になるということです。このことを考えると親が子供に何をすればいいか自然に見えてきます。(次回4月の万華鏡のテーマです)
まっすぐに立つことは、自分を否定しないことでもあります。これまで生きてきたことすべてをひっくるめて、自分を好きになることで、堂々とまっすぐに立つことです。
自分を不幸と思っている人は、その原因を他の物・人だと思っていて、さらに自分を嫌いという人があります。本当の意味で自立できている人は、同じ境遇を経てきても、自分を不幸とは言いませんし、自分を好きで、周りの人も 周りの景色も 好きと言います。
知らなかったことを知り
できなかったことができるようになったことに
喜びを感じたら・・・
前よりも
目先のことだけでなく
ひとまわり大きく物事を考えられるようになった
自分が居たら・・・
少しばかり いい女になったと
自分をほめてあげよう
反省はしても 後悔はせず
努力はしても 無理はせず
命ある限り・・・
登りつめよう
この なだらかな坂 女坂
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