ゆかた・浴衣・湯帷子
ゆかたは浴衣と書き、お風呂上りに素肌に着たものということはみんな知っています。
古くは「湯帷子(ゆかたびら)」といい、麻の単の着物で、入浴のときに身にまとい、後には浴後の汗取りに使ったもので「身拭い」とも呼ばれました。もともと上級者のものでしたが次第に木綿になって一般にも着られるようになりました。盆踊りに用いた「踊り浴衣」(盆帷子)や芝居役者が楽屋で着た「楽屋浴衣」、衿肩回りを中心に円形に大きく文様を染め抜いた「首抜き浴衣」などが流行し、広く一般にも着られるようになりました。庶民の世界では湯上りの衣としてだけではなく、木綿の単として夏の普段着や雨具としても利用されました。余談ですが、風呂敷は、銭湯で、板敷きの上に広げて身じまいをし、そのまま入浴用品を包んで持ち帰るのに使ったので、風呂敷といいます。
◆「ゆかた」の着方二通り
ゆかたは浴衣だから素肌につけるものと考えますが、それはお風呂上りに家で着るものです。もう一つの着方は、人目を意識し、きれいにかっこよく、変わった帯結びを・・・と、今はこういう方のほうが多いと思います。こういう時には、下着も考えましょう。きものを一式持っている方は、肌襦袢と裾除けをつけます。何もない方は、浴衣スリップをお勧めします。また帯姿を美しくするには、ウエストにタオル補正をします。汗をとってくれますし、帯が安定し、着崩れもありません。
最近、浴衣を街着にという傾向がありますが、気軽に着物を着る意味でいいことだと思います。ゆかたを街着として着る時もう一つ気をつけることがあります。ゆかたは着丈を少し短くしますが、綿は絹物と違って垂れないので、思ったよりも短くなります。特に座ると後ろがしわになり裾線が上がりますのでその分注意しましょう。
◆「ゆかた」は着物の入り口 何でもあり
ゆかたの裾を短く切ったり、腕まくりをしている女の子を見かけ眉をひそめる人も多いと思います。
私は決して勧めているわけではありません。これを20代半ばを過ぎている人がしていると問題がありますが、10代の頃、何でも流行するとやってみたくなる時期はあります。世の中は動き、一時的な流行ものは消え、彼女も変わります。3年後には、着物本来の良さを知り、素敵な女性になっているかもしれません。
「ゆかた」は着物の入り口 何でもあり。否定だけでは何も生まれない。
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