やまとなでしこ
7月は、何と言っても、「なでしこジャパン」。 ここのところ、日本はずっと暗いニュースばかりで、先の不安を抱えながら毎日を過ごしていただけに、このニュースは、日本国中、歓喜の渦に包まれました。また、監督をはじめ、メンバーがみんな明るく好感が持てる人達だったので、ますます、みんなが好きになってしまい、テレビでも何度もとりあげていたようです。
先日、花の 「なでしこ」 を探しに行くという内容の番組がありました。この本当のなでしこ 「河原なでしこ」 を知らない人が多かったのには驚きました。花屋さん生産者と尋ねていくのですが、ハウスの中のなでしこは、花屋で売られる、もこもこと花がいっぱいついた別のなでしこでした。
なでしこと言えば、河原や風の通る草原に静かに咲いている河原なでしこで、「大和撫子」 の意味もここから来ています。唐なでしこ (石竹) に対して、日本独自のものを大和撫子といいます。 「やまとなでしこ」 は日本女性の清楚で、慎ましやかで、一歩引いて男性をたてるというイメージがあります。また、見た目のしとやかさと内に秘めた、凛とした気高さも言われます。
日本の男性の 「サムライ精神」 に対して女性の 「なでしこ精神」 とでもいうのでしょうか。
「なでしこジャパン」 はサッカーで世界一になり、強い女性であることは確かであると同時に、表情や言葉から、本当に素敵な女性で、「なでしこ」 の名前はぴったりだと思いました。
なでしこは、秋の七草のひとつです。春の七草は、1月7日に 「七草がゆ」 として、スーパーにもセットで売っていますので、知っている方は多いと思いますが、秋の七草は知らない方もおられると思います。私が子供の頃、短歌のように、五 七 五 七 七 で覚えた順番です。
「はぎ おばな ききょう なでしこ おみなえし くず ふじばかま 秋の七草」
萩 尾花(薄・すすき) 桔梗 撫子 女郎花 葛 藤袴
季節を表現することで、同じ物でも違う言葉があります。たとえば、「おはぎ」と「ぼたもち」。
先日、その違いを「粒あんと、こしあん」 また、「関東がおはぎ関西がぼたもち」と言った人がいましたが、春牡丹の咲くころに食べるのを「牡丹餅」 秋、萩の季節が「お萩」です。
日本には四季があり、季節のうつろいと、それを表現する美しい言葉があります。
また、1年を24等分し、その区切りに名前をつけた、二十四節気による名前も覚えておくといいと思います。
夏は特に美しい言葉はないように思いますが、今は夏ですのであげてみます。
昼間の時間が最も長い 『夏至 (げし)』 (6月22日) から、暑さが日増しに強くなる 『小暑 (しょうしょ)』 (7月7日)、最も暑い時、『大暑 (たいしょ)』 (7月23日)。 この暑さを乗り切るためにと土用の丑の日に鰻を食べる風習があるのは行き渡っているようです。
また 『立秋 (りっしゅう)』 (8月8日) は、暑い時期だけれど朝夕なんとなく秋の気配を感じるころで、この日からは、暑い時でも暑中見舞ではなく、残暑見舞になります。暑さが収まる頃と言う 『処暑 (しょしょ)』 (8月23日)。
そして、野の草に露が宿るようになる、私の好きな言葉、『白露 (はくろ)』 (9月8日)・・・。(日付は2011年)
季節を感じとる感性と、生活の中に季節を演出できる繊細さと心のゆとりを持った、本当の大和撫子は、やはり目指す日本女性の姿でしょう。 →バックナンバーはこちら
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