かざみきもの学院
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<2011年9月>

 

ふるさと給食に思う

学院長 以前(2006年)DASH村のことを書きました。TOKIOのメンバーと里山が私も好きでしたし、子供たちに見てほしいと思っていました。それと共通するところで、最近興味があるのが、ふるさと給食です。全国各地で、その土地の自然の恵みを先人が見つけ、知恵と経験から得た栽培法、収穫法が受け継がれています。全国にも知られるようになったその土地の食材を、食べない子供が多くいる現状から、もっと知ってもらおうと取り組んでいるものです。

 広島県の「竹の町」、竹原町では、子供たちが竹林に入り、竹林と竹藪の違いを目で見て、筍が育つにはどれだけの手入れが必要なのか、丁寧な竹の管理の下に、筍も、また、この地で誇れる竹細工もできることを目と耳と肌から感じ取ります。自分達で掘った筍を使ったふるさと給食。もちろんみんな完食です。

 北海道足寄町では日本一大きな蕗「ラワンブキ」が自生しています。地元であっても知らない子が多く、大きなフキにびっくりし、葉を頭にのせたり洋服代わりに見立てはしゃいでいましたが、雪が多いところなので、開拓の時代、今のような物流がなく、冬は野菜をあまり食べられなかったので、このラワンブキを塩漬けにして、その時のビタミンやミネラルをとったという話になると皆真剣な表情になりました。

 長野県喬木村ではマツタケです。マツタケが生える里山を学校が借り上げ、里山の保全の大切さや、下草刈りや枝打ちなど、森の整備を学ぶ「山学習」を行ってきましたが、秋には自分達で収穫したマツタケご飯を給食でいただきます。

 富山県滑川市では、ホタルイカが知られています。春産卵のためホタルイカの大群が押し寄せます。
子供たちは「ホタルイカミュージアム」で神秘的な青白い光を放つ不思議な生態を学びます。また、漁では、昔から産卵前の卵を抱いているのはとらないように、産卵後深海に帰ろうとするのをとってきたという説明に大きくうなずいていました。

 鳥取砂丘ではラッキョウでした。砂の大地がラッキョウを育んでいることを知りますが、やはり嫌いな子が多いようです。砂地の畑で育つラッキョウを見に行き、収穫し、自分達でラッキョウ漬けを作ります。子供達には食べにくい食材を、学校、農家、栄養士みんなで工夫をします。この日の給食には、ラッキョウのかき揚げが出ましたが、おいしいと完食。

 それまで食べられなかった土地の食材の給食を完食する様はとても素晴らしいことですが、私が感動したことは、それぞれ現地でその中に入って、見たときの子供たちの目の輝きと、作っている人の、「これは日本ではここにしかない、日本で一番・・」という説明を聞いた時の、子供たちの誇らしげな表情でした。
この子達が大きくなって、ふるさとを離れても、この食材と共に、さまざまな物を思い出し、自分のふるさとに懐かしさと同時に誇りを持っていくことでしょう。

 お話は変わりますが、かざみ会の男性会員のお子さんで、小学生の男の子が、県内の「山村留学」に行きました。1年の予定が本人の希望で2年間過ごしました。帰ってから、ホテルで行う「かざみ夏のつどい」に、お父さんと可愛い妹さんと3人で毎回出席してくれます。小さい時から色々な席に出させてやりたいというお考えからですが、大人と同じ料理のナイフ・フォークも上手に使えるようになりました。今、ホテルが、小学生にテーブルマナーを教えるというのがぼつぼつあるようです。先日、高級ホテルの個室で両親と一緒に男の子が教わるのをテレビで見ました。これからの時代大切なことかもしれません。
去年はちょっと恥ずかしかった妹さんも、今年はお父さんと3人で、カラオケも楽しんでいただきました。ジャンケン大会では皆と一緒に盛り上がりました。山村留学をした男の子はとてもしっかりしていますが、子供らしさも失わない素敵なお子さんです。
自然体で、楽しみながら、色々なことを感じとりながら身につけていくという、この御両親のお考えは素晴らしいと思います。
DASH村、ふるさと給食のことを書いていると、なぜかこの御家族のことを思い出しました。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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