かざみきもの学院
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<2015年6月>

 

一歩引くと見えてくる

 5月17日全国きもの指導者協会沖縄総会がありました。今回は、羽田組・松山組・そして名古屋からと三ケ所からで現地集合でした。松山からは1便しかなく、時間から見ても当日では心配なので前日出発を予定していました。16日松山空港に着くと、いつもより人が多いなと思っていたら、松山が霧のため使用機が着陸できるか検討中の便が他にもあり、しばらく待って欠航ということになりました。翌日のチケットが取れるかどうか、列に並びました。払い戻しも、別の方法の相談等すべて同じカウンターなので久しぶりに長い時間かかりました。

 もう何年も前からエアチケットはネットでとっているので久しぶりでした。運よく翌日の便が取れて家へ帰るタクシーの中で考えました。これまで羽田松山間だけでも、当初は毎月、最近では1か月おきの移動、その他の便等随分多く乗っていますが、一度もトラブルがあったことはありません。そのことは当たり前と思っていましたが、考えてみると、それは運がよかったのだとしみじみ思いました。

 翌日は予定通り出発しました。空港から会場のホテル 「リザンシーパークホテル谷茶ベイ」 までは1時間ほどかかります。飛行機、着と、リムジンバス、発の時間が同じなので、タクシーでと考えていたら、予定よりも早く着き、運よくバスに乗れました。17日のニュースにもありましたが、辺野古新基地反対の県民大会があり、大勢の警官が出て、辺野古新基地反対を訴える車とバスが並走等、思いがけないこともありました。また総会の最後に注意事項として事務長から、明日は地雷撤去を予定しているとのこと。道路が混んで空港までの時間が予定よりかかるかもしれないので、早めに出発するようにとのお知らせがありました。一日遅れたことで沖縄ではゆっくりできませんでしたが、今回はニュースや話で聞くだけではなく、沖縄の問題を身近に感じることができました。予定通りに、思った通りにいかない時は、そのことに不満を残すより、いつもと違う経験をしたことを印象強く残すようになりました。

 総会及び沖縄地区のショー、その後の宴会も盛会のうちに終了しました。沖縄地区の認証校の先生は、東京の教室で同期、京都での講師試験も一緒に受けた間柄ですので、立派に開催されたことを私も嬉しく思います。沖縄は季節も全然違って、この時期、着物は夏物です。こんなに暑い地域で長年着物の素晴らしさを広めていかれた先生に拍手を送りたいと思います。

 帰って落ち着く暇もなく、義兄の訃報がありました。学生時代、その家が大学のすぐそばにあり、また、姉夫婦が仕事をしていたこともあって、よく子供達と遊びました。その子が男の子3人のお父さんになって、その子供達も手伝い、立派に喪主をつとめました。
人が亡くなると、通夜 葬儀に続いて四十九日、一周忌 三回忌 七回忌 十三 十七・・・と法要がありますが、それは、それぞれが忙しく、日ごろ疎遠になっている親戚一族が集まるいい機会になります。故人はその状態を喜んでいるのだと思います。

 他にも最近ご家族を亡くされた方が何人かおられます。その方々のことを思うと、このことを伝えたくなります。

 大切な人を亡くした方は、ただひたすら、その人のことを考える時間を持って下さい。すると何らかのメッセージがあります。言いかえれば気づきです。そしてまた、その人は、あなたがそのことだけを考えることなく、顔を上げて自分の道を歩く姿を望んでいます。
いつか自分が、人の痛みが分かり、周りの人に感謝し、前より優しくなっていることに気づく時があります。それはその人の何らかのメッセージのおかげだと思います。

これは私の経験から得たことです。
 
 人には皆、自分の力ではどうにもならないことが起こります。人の生死は特別のことですが、日常の些細なことも、起こってしまったことを、怒り、悲しみ、人を恨み、自分を責め、そこからなかなか抜けられない人もいます。そんな時はその部分だけアップで見るのではなく、カメラを引くと広く全体が見えます。より冷静に現状把握し、すぐに対処しなければいけないことをする。次にその原因理由を落ち着いて考える。その結果人に言わなければいけないこともあるけれど、その時点では、もう怒り、恨みの「否定のための否定の言葉」ではなくなっています。きっと前向きのための言葉になっているはずです。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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