かざみきもの学院
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<2015年10月>

 

舞台衣装の着付け

 今年も 9月27日、詩吟大会(松山市民会館)の着付けが終わりました。毎年、かざみから 10人の着付士が大勢の着付けをします。(全体を受けているわけではないので、私は行かずに皆を送り出しています) 成人式のように事前の着物小物のチェックもできず、その場に来られた方の、ぶっつけ本番の着付けです。もう何年も続けているとはいえ、毎年、「無事終わりました。皆さんに喜んでいただきました」 のメールでの報告を受けて、一安心というところです。今では私が何も指示しなくても、会場に行かなくても、出番前の最終チェックの担当も決めて、手際よく進めている様子をとても嬉しく思います。翌朝、愛媛CATVイベントのニュースで、いくつかのシーンが出ましたが、皆きれいに着せているようで安心しました。
 
  舞台といえば、もう大分前、群馬本校の方でのこと、舞踊の先生である友人に頼まれ、舞踊(新舞踊)のメイク着付けをしたことを思い出します。会場の広いメイク着付け室に、20人ほどのスタッフを用意しました。はじめての年は先方も大勢のお弟子さんを舞台に上げるのは初めて、こちらも初めてという時でした。
成人式のように着せて送り出したら終わりというのならいいのですが、オープニングでそこのグループが全員出て、その後、プログラムに従って、それぞれの演目の衣装に着替え、3回という人もありました。次の着付けがあるのに帰って来ないと思っていたら、写真を撮っていたとのこと。色々なことがありました。

 何組かの社中での合同で行ったものでしたが初めはこの友人の所だけを受けました。衣装も日本舞踊の本衣装とは違って、本人用意ということなので、事前にコーディネートの相談も受け必要な小物類のチェックもしましたが、おひとり、襦袢の身幅が狭くてどうしてもこれでは衿が開く心配が。二部式襦袢だったのでご本人の了解を得て、脇をほどいて衿が深く合わせられる方法をとり、当日はきれいに着せることができて喜んでいただいたことなど思い出します。

 初回は、両方が初めてなので、混雑しないように流れを考え工夫しました。活躍したのが、各2枚の風呂敷と2枚の荷札です。また、メイク着付け担当以外に、受付、衣装チェック係等、技術はまだだけど、次回のためにも現場を見ておく方がいいと思い、手伝いの人を用意。会場が広いので助かりました。
初回は何が起こるか分からないので、私の担当はなしにしました。全体の流れを見ることと、もう一つ確認したいことがありました。それはメイクです。東京で時代衣装、舞台衣装の勉強をした時、舞台メイクもありました。白塗りもしましたが、学院で指導したのは、その中でも白塗りではなく、簡単で、自然で美しく見える水化粧でした。このメイクが、濃さの問題等、客席でどのように見えるか確認したかったので、何度も客席に入りました。2回目からは他の所からも頼まれるようになりました。流れが分かってきたので、裾引き着付けがある時は私が担当しました。

 もう一つ今でも覚えていることがあります。その後何回目か忘れましたが、人数も多くなり、プログラムと照らし合わせて、タイムスケジュール等、すべて準備をして明日に臨もうとしていた前日の夜、初めての方からお電話で、男物着流しを2人依頼されました。衣装屋さんで借りたので帯も選んでほしいとのこと。着流し2人くらいなら追加でも大丈夫と思って受けました。ただ、進行上の問題もあり、男物は対丈着付けなのでご本人の物でなければ、始まる前に衣装合わせをしておきたいとお願いしておきました。予想した通り、お二人とも着物丈が長く、一人は少しだったので紐を2本使って帯下に入れられるのでよかったのですが、もう一人の方が大分長く、帯の中に納まりきれない。(その上、特に普通より帯が細い)・・・着物を縫い込むという方法はありますが、体形によっては縫い目をちょうど帯下に隠すのは難しい、(仕方ない場合は舞台では分かりにくいのでその方法をとりますが) 帯は普通よりもかなり細い帯。よく見ると3本お持ちになった帯の2本が細かい市松模様で色違い。そこでひらめいたのは、帯2本を縫い合わせ幅の広い1本の帯にすること。(舞台上の着流しは、普通の帯より少し広い方がいい) これが大成功! これも前に衣装合わせをしたからできたことです。

 話は前に戻りますが、初めての時、私は全体の流れ等を見ていました。すると、出番待ちの人が慌てて、袖(袖付け) をひっかけてしまったとのこと、すぐに縫ってあげました。その後何年か経っても、「初めて舞台に出る時、そうでなくても緊張していたのに、袖をひっかけてしまって舞い上がっていた。先生が 『大丈夫ですよ・・・』 と言ってすぐ縫ってくれたので、すーっと気持ちが落ち着いた」 という話を何度もしてくれます。

 舞台衣装のことでは、色々なことを思い出します。東京での時代衣装のカリキュラムは、3日間、3日間、・・・と組まれていて、各地から私のような立場の人が集まり、一緒に勉強しました。先日懐かしい写真が出てきました。かつら メイク 着付け トータルで出来上がった私の花魁姿の写真です。この時は宮崎の先生と相モデルでした。前結び俎板帯に三枚歯下駄。ここにその写真を載せるといいのですがいくら何でもそれは恥ずかしくてできません。今月も友人から先日届いた季節の花だよりの写真からムラサキシキブにしました。
 

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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