母として・娘として・そして私
この仕事をするようになって、多くの女性に出会いました。初めの頃は、自分の教室と、外の学園の週3回の授業、子供のこと等々あって着付け指導でいっぱいでした。女性の生き方について何かに書くことがあっても、一人ひとりのことを考えることなく、ただ一般の理想を掲げていたように思います。長い間この道を歩いてきて、しみじみ思うことがあります。生徒さんの中でも、着付けだけ教えてもらえばいいという方もおられますので、それはそれでいいと思います(そのために入学)。けれども、資格を取得し、研究会、着付けの仕事、年2回の集まり等、長いお付き合いの中で、その人のことを考えるようになります。また、現在受講はしていないけれど年2回の集まりには着物姿で出席してくれる方にお会いするのも楽しみになっています。
気持ちはあるけれど、今、事情があって行動していない方もおられます。ご本人の体調だけではなく、お子さんのこと、ご両親の介護のこと、色々なことがあります。今その方達のことを考えています。着付けはいつでもできるから授業に来られなくてもいいけれど、周りのことだけでなく、「自分」も大切に過ごしているだろうか。悲しいことがあった人は、それを乗り越えて元気で過ごしているだろうか。毎月書いている、この万華鏡は1人の人へのメッセージの時もあります。確かに女性は子供を持つと、自分の時間が制限されます。子供に手がかからなくなると今度は親の介護、自分の時間が無くなって・・という方もあります。
お話は変わります。生徒さんではありませんが、あることから対人関係で悩んでいる方がおられました。内容も知っていました。真っ向から争う様子。確かに先方が間違っていて腹が立つことは分かりますが・・・
最近気づいたことがあります。子どもの頃、母から言われたことの中に、「人の悪口を言うのは恥ずかしいこと。人に悪く言われてもその人を悪く言うのは負けること。」 この言葉をよく覚えています。彼女は大切な友人なので、周りの人はみんな分かっているので、その人と同じレベルで争わないでほしいと思っていました。
以前渡辺和子先生(ノートルダム清心学園理事長)のことは万華鏡にも書きましたが、早朝偶然テレビでこの方のお話を聞き、心に響くものがあってすぐにこの方の著書を調べました。その中から「置かれた場所で咲きなさい」という本を注文しました。その本を読んでまた1冊買って彼女に送りました。先日、この本のタイトルで番組があり、先生のお話を沢山お聞きすることができました。
今思うと、当時、着付けの技術だけではなく、色々なセミナーに出席し、会に所属したことは、女性だけの集まりの中、自分の判断基準が不安で、広く客観的に見る目と判断力を身につけたいとの思いがあったのだと思います。私は、思うままに、何かに背中を押されるものがあって行動し、後になって、そういう思いがあったのだと気づくことがよくあります。
生きていく中で、色々なことがありますが、他人の言うことはよく聞き、ただし、その言葉にふり回されることなく、聞き流すことも必要なこともあり、自分の判断基準を持つことは大切なことだと思います。その基準は年を重ねることや、人と接することなどで微妙に変わってくると思います。
母として・娘として・大切なことは沢山あります。介護に関しては、親を思う優しさが自分をなくしていく。娘を思う優しさが、そんな娘を不憫に思い、申し訳なさで自分を責める。そんな母娘を知っています。どう表現したらいいか分かりません。私は親の介護で苦労をしたことがないので、言葉だけと言われるかもしれませんが・・・
やはり、娘であるあなたが、自分 「私」 を消さないこと、自分が前向きで、好きなこと、楽しいことをする。好きなことで実力をつけ、自信を持つことが最も効果があります。
親であれば、いくつになっても自分の娘の楽しそうな笑顔を見たいものです。
子供に対しても、親に対しても、一番必要なことは、自分の中での 「切り替え」 が上手にできることです。「いつも、誰からも、良い人」 と言われなくてもいいから自分を信じることだと思います。
こんなことを言いながら自分のことをふり返ってみました。連鎖校として東京に所属していた頃、次女がお腹に居る中で何度か東京に通いました。その後、先生に勧められるまま、生後6カ月の子供を置いて、京都での総会のショーの舞台に立ちました。今思うとぞっとします。反省することが沢山あります。けれども、今、私がほとんど松山に居るので、群馬本校を任せているのは、生後6カ月で置いて行かれた娘です。そういえば、この子はお腹の中に居る時から私と一緒に着付けの勉強をしていたのかもしれません。
反省はしても後悔はしない。
絶対にしてはいけないことは 「自分を否定すること」 それは 「うつ」 へと向かい体調を崩すことがあります。
母として・娘として 大切なことは沢山あります。けれども、「自分」 のことも大切に。
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