今 立ち止まり思うこと(1) 「学ぶ」
3月は時間があったので、これまでのこと、これからのことをゆっくり考えました。
このコラム 『万華鏡』 を、書き始めた 2005年から全部読みました。これは生徒さん、卒業生の方、気持ちはあるけれど家庭の事情でお休みしている方、またこれから習いたいと思っている方、どなたでも見られるように発信していましたが、内容は着物のことだけではなく、女性として、母として、人として、また、私のひとり言等色々な面で思いつくまま書いています。しばらく会っていない友人からも、教室で会う生徒さんからも、色々な方からメールをいただきます。特別の事がない限り毎月5日更新なので、毎月メールを下さる方もあります。
開始した当初はあまり乗り気ではなかったのですが、今回読み返してみると、自分には、とても大切な記録になっていました。考えてみると、それまで 「石橋をたたいて渡る・・・渡らない・・・」 という自分だったのが、いつの頃からか、思うままに、背中を押されるという感覚で行動して、後でその時の行動の理論づけをして納得するという自分になっていました。 「感性と行動優先」 に変わったことは、この仕事をするようになってある時自覚しました。→ バックナンバー : 2005年5月 「もう一人の私」
指導内容が決められている学校教育とは違い、かざみの指導内容は、私自身が色々な方面から学び、体験し、納得したことを 伝えていきたいと思いました。当時、東京に通い、ひと通りはマスターして資格は得たものの、「指導者としてこれでいいはずがない。流派ではなく、色々な方面から学び、自信を持って向かいたい」 という思いが強く、色々な勉強をしました。今のように何でもネットで検索できるわけでもありません。美容関係の着付けも知りたいと思っていた時、いつも行く美容室で本をぱらぱらと見ていて着付け講習の案内を見つけ、他の人達と受けたこともありました。また、ある先生の本を見て問い合わせ、こちらの立場も名乗り、何回か個人指導を受けたこともありました。
当時は着付けも受講する方が多く、指導者を養成しなければいけない状態でしたので、着物に関する技術と知識はもちろんですが、自分自身が、全体を見る目、まとめる力、同時に、プラス思考でお互いを高め合うことが大切と考えていたので、知人のお誘いで、東京での 「経営戦略セミナー」 にも何度か参加しました。大部分が男性でしたが、男性は何を考え、どういう勉強をしているのか知りたい部分もありました。
着付けの方は、時代衣装、舞踊の着付け等 1か月ごとに 2泊3日の講習が何回か組まれているコースを申込み、全国各地から受講される方との交流もありました。最後に松竹衣装の方が来られ、試験があり、無事合格しました。このときのメンバーで、先生が企画されたその他単発で行われた講習を求めて色々受講しました。そしてまたこのメンバーで、オーストラリアの着物ショーにも参加しました。
カラーアナリストも別の所で何度か通い終了しました。今思うと、受講したことをすべて自分の物にしたとは言えません。当時そこまで求めて受講したことは、ある意味、学ぶことが、指導者としての精神安定剤だったのかもしれません。
色々な所で勉強はしましたが、私が所属しているのは、高林三郎先生が創始者でいらっしゃる、全国きもの指導者協会(京都)です。先生が生前いつも言っておられたのは、「これだけ時代が変わっていく中で、着物の形は変わっていない。今の着物の衿は、日本髪を結っていた頃の着物と同じ。もっと衿幅を細く! 袖の丸みを大きく!」 このお話は長くなるので、またの機会に改めて・・・。
お話は変わりますが、以前、講談社の 「きものと着つけ」 の本の一部を15年担当していました。何年か経った頃、いつも同じような内容なので、「読者が困っていること、例えばふくよかタイプで着物の幅が足りなくてきれいに着ることができない。長襦袢も決まらない。帯も足りなくて柄がいいところに出ない。という人のために、裏技を紹介するなどどうでしょう?」 と提案してみたところ、編集長が、「是非それをしてください!」 とおっしゃって採用していただきました。最後に、「何ページになってもいいですから!」 と追加のお言葉もいただき、とてもやりがいのある仕事になりました。
万華鏡を全部読み、これまでのことを思い出し、懐かしさもある中で色々なことを考えているうちに、今後の自分のあり方が見えてきました。いえ、意識しないうちに、もうその方向に向かっていました。
もう一人の私 が背中を押しているようです。
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