かざみきもの学院
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<2007年4月>

 

植物の根っこ

学院長 全国各地で美しい桜のたよりが届く中、久しぶりに降った春の雨も上がり、緑が濡れて我が家のささやかな庭も美しく見えます。芽吹き始めた若草色の木々の枝を通して、暖かく,さわやかな風が心地よく、小鳥の声も聞こえています。毎年この時期に感じます。枯れ木状態から、必ず芽を出し、あっという間に緑が茂っていく植物の営みの力強さは本当に素晴らしいと思います。

また、今年もこの時期、いつものようにテラスにテーブルをセットして万華鏡を書き始めました。大好きな「てっせん」も、枯れたように見える細い茎のあちらこちらから芽を出し、やがて青空の下、いつものように青紫の大輪の花を咲かせるだろうと思いをめぐらせています。

政府の教育再生会議で、道徳教育を、小・中・高 を通した正式な教科と位置づける話が出ています。
これまで、勉強だけでなく、「人として」ということを重視しての、ゆとり教育、週休2日となり、今度は学力低下が問題になってきました。
今、学校でのいじめや自殺など、大きな問題を抱えるようになりました。そして今までの道徳の時間とは違って、正式教科として、もっと力を入れようということです。
これらのことに関しては、評価の問題その他、それぞれ色々な意見があると思います。私はこのことについて今コメントするつもりはありません。

ただ、言いたいことがあります。ずっと言い続けていることですが、また、教育の問題が出てきましたので、改めて言います。

子供のいじめ、自殺、教師の問題等出てくるたびに、マスコミは、大きく大きく、何度も取り上げ、テレビでは、色々な人がコメントをし、上に報告しなかった先生の責任が問われています。
一方、親は、テレビのコメンテーターの言葉をそのまま自分のコメントとして周りに話し、みんな教育評論家になります。
それはそれでいいとしても、一番の問題は、それを子供の前で話すことです。子供は自分の先生のことを、冷めた目で、親から聞いた言葉で批判し、何かを言われると、
「教育委員会に言うよ!」という子供がいるとのこと。正常ではありません。

そのため、教育に情熱を持って学校に入った先生も、いつの間にか、自分のクラスにこの1年間何事もないようにと願い、また、何かあったら上に早く報告しなければいけないと、別の意味で子供たちを見るようになる。なんて悲しいことでしょう。

確かに中には異常な先生がいることはニュースで知っています。
親の子供への虐待が問題になっている中で、また、お風呂で子供が泣き止まないので、熱湯をかけたニュースが飛び込んできました。

そういう親も、ニュースに出てきた先生も、子供のときがあったはずです。生まれたときからそんなひどい人ではなかったはずです。

子供がどういう大人になるかの基本は、親の問題です。
学校は勉強をするところです。諸々のことの責任を、先生に求めすぎると思います。

親が一人の人として、一度こういうことを考えてみてはどうでしょう。
現実は自分の思い通りにならないことは沢山ありますが、すべて思い通りになると仮定して、自分が一番求めているのは、どういう状態なのかを考えてみるといいと思います。すぐ答えが出る人もあれば、迷ってしまう人もあります。またその答えが年齢とともに変わることもあります。
そうこうしていくうちに、幸せとは何か、人として何が大切か が見えてくるかもしれません。
そしてこの親の価値観が子育てに一番影響することを感じ、子供にどう対すればいいかが分かるかもしれません。
小さいときに、ものの善悪、命の大切さ、約束を守る のように、あたりまえのことをしっかり教えていくことの大切さを感じるかもしれません。

色々な教育の本を読み、講演を聞き、教育熱心なお母さんでも、どんなに枝葉が立派でも、根がしっかりしていないと植物は育ちません。
親の心に少々のことではぶれないしっかりした根っこがあると、子供は安心します。
あたりまえのことを、あたりまえに・・・・

枯れたように見える「てっせん」も、春になると必ず芽が出てくると確信して時を待つと、毎年きれいな花を咲かせてくれます。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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