かざみきもの学院
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<2007年5月>

 

松江の春に 赤秋 を思う

学院長 松山のマンションの入り口の道路に沿って、見事な桜が続きますが、朝見ると昨日の風景と違うといっていいほどあっという間に緑色になっていきます。花が散り始めると、その花を押しのけるように、芽が出て葉が茂っていく植物の力強さには驚きがあります。
風と緑の5月はいつも私に勇気を与えてくれます。
かざみのマークにも使われている色の、紫は大人の女性を、緑は葉が茂って、伸びていくことをイメージしています。そしてかたちは、薫風を受け、気持ちよくはためいていく旗を表現しています。

今年は、しっかり桜を堪能しました。4月1日には、館林で全開の桜を、1週間後の8日は松山で、花びらの舞う中でのきもの姿撮影会でした。
日本人は不思議なくらい、みんな桜が好きです。季節の移り変わりの中で、一番桜を意識するようです。
よく言っていることですが、「季節を感じ、季節を演出できることは、人として素敵に生きていくのに大切なこと」です。日常の目先のことだけに追われているとそれも感じなくなります。季節を感じ、演出できるには、繊細な感性と、心のゆとりが必要です。私も、どんなに忙しくてもこのことは忘れないようにしたいと思ってきました。

4月14日、島根県松江市で、全国きもの指導者協会総会がありました。本校のメンバーは飛行機で、松山のメンバーはJRで、松江のホテルで合流し総会出席。参加するだけの総会は気楽で、十分観光を楽しみました。
マイクロバスで、出雲大社 日御碕 松江フォーゲルパーク、・・・あ!忘れていました。島根ワイナリーでワインを試飲。夜は両校の人が一緒に、食事をしながら、再来年の開催校になる松山での総会のことにも話しが弾み、随分お酒もすすみました。(お酒が好きな人が多いようです)

翌日は昨日とは違って、霧雨が降る中、ホテルから宍道湖を見ると、しじみをとる沢山の船が出ていました。
この日は、大山のかなり上の方まで行くことが出来、山頂に雪をかぶった美しい姿を見ることができました。
この日のメインは足立美術館です。日本一といわれる素晴らしい庭も少し濡れていっそう美しく感じました。
沢山展示されている絵の中から、1点、他のものとは違って、目に飛び込んできたものがありました。榊原紫峰の「白鷺図」という白鷺がまさに飛びたつところの絵です。
今まで見た白鷺の美しい姿とは違い、力強さと気高さを感じました。

2006年3月の万華鏡の「青い春と白い秋」の中に、人の一生のことを季節にたとえて、「青春 朱夏 白秋 玄冬」 のことを書きました。
私は、一生青春というよりは、すべてをしっかり感じていきたいと思っています。
無駄なものをそぎ落として、自然体になっていく、白い秋をたのしみ、むしろ快感を覚えていた私ですが、最近自分の中によどみがあるのを感じていました。

足立美術館でこの絵を見たとき、以前仲代達矢さんが言った「赤秋」という言葉を思い出しました。どうして、この絵を見て、この言葉を思い出したのかは分りませんが、2泊3日の旅の終わる頃には、あのただひたすらに真っ赤に燃えて突っ走った頃の朱夏の色とも違う、けれども確かに赤い秋を感じ始めました。そして何かが吹っ切れました。
どれだけ赤く燃えていけるか分りませんが、これは私の中では一つの節目になりました。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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