かざみきもの学院
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<2007年7月>

 

夏のきもの

学院長  私は夏の着物がとても好きです。暑さのためについだらしなくなりますが、そんな中、日が落ちてから絽の付け下げかなんかで、ホテルのロビーに立ったときなど、肌触りもよく、何と表現していいか分らないような快感を覚えます。それは、どんな豪華な着物を着たときよりも、自分がいい女になったような気がします。夏の着物の着こなしは、無駄なものは捨てて、シンプルに、涼しそうに、凛と装うのが一番です。
また、明石ちぢみ、夏塩沢 絹芭蕉など、しゃきっとした感じも心地よく、こういう着物を昼間着てパラソルを持つ姿は、私が昔から大人の女性としての憧れで、このことがこの世界に入ったきっかけと言えるほどです。
今回は着物の実用編とでも言いますか夏の着物について触れてみます。

◎季節と着物

 最近は、冷暖房が普及してきましたので、着るものの季節感があまりなくなってきたようですが、季節と着物についての基本は知っておいてほしいと思います。
10月から5月は、袷(裏のついた)の着物、7月8月は盛夏の透ける着物、6月9月は単衣の着物、裏をつけると袷の着物になる普通の生地を、裏をつけないで仕立てる、透けない単衣。「単衣の季節になりました」という単衣はこのことをさします。夏物はもちろん裏をつけませんので単衣ですが、薄物とか盛夏の着物というような表現をします。
この基本の上に、夏に向かうときは、半月ほど季節を先取りして、5月の半ばからは単衣、6月半ばからは絽を着たりします。紗は透け感が強いので7月に入ってからのほうがいいと思います。

◎衣替え(更衣)

 官庁や、学校その他会社などの制服の衣替えは6月1日、10月1日と決まっていますが、最近は、気候が定まらないようですので、様子を見ながら衣替えするところが多くなりました。けれども季節を大切にする人は、きちんと衣替えの時期にするようです。着物で言えば、5月に単衣を着るときは、袷のときに結んでいた帯の中から薄めのものをつけますが、6月1日からは、同じ着物にも、夏帯を結びます。 半衿、帯揚げ等、小物も全部夏物に変えます。
基本はそういうことですが、正式の場合を除いて、着る人が快適であることが一番ですので、あまりこだわらなくてもいいでしょう。ただ、その時期にあった季節の着物や、部屋のしつらえも大切にする人、季節を大切にする人は素敵な女性だと思います。

◎長襦袢

 長襦袢は、最近は、全部裏のついた袷は少なくなり、冬でも、袖だけ無双(両方表を出す)を使います。これは袖口から裏が見えるので、着物との調和を考えて選んだりします。夏は一般的には絽を使います。紗や麻も使いますが、麻は涼しいけれど、しわになりやすく、ごわごわしますので、普段着に使い、きもの姿をしなやかに美しく表現したいときには不向きです。

◎透け対策

  薄物の透け対策ですが、下着まで気を配って着付をすることはもちろんですが、どうしても後ろが気になります。後ろ身頃を、ウエストのあたりから下まで裏を張る方法がありますが、せっかくの着物の透け感の味がなくなりますので、私は長襦袢に裏を張り、着物はそれぞれの味、透け感を楽しんでいます。

◎汗対策

 夏きものを着ているとよく、「いつも涼しそうに着ていますが、汗をかかないんですか」と言われます。知人の医師の方から伺いましたが、着物を着ると、帯をきちんと締めるので、汗をかきにくいとのことです。夏、着物を着る人が少ないようですが、着る人は、経験から色々工夫をしています。一番大切なことは、着付けの時間に余裕を持って焦らないことです。










ウエストに補正をする人は、タオル補正で汗を吸収する。
汗取り襦袢の利用  肌襦袢に汗を吸収しやすい織り方の襦袢があります。 
帯枕に「へちま」を使用
保冷剤の利用
お店で、生物を買うと入れてくれる小さい保冷剤を冷凍してハンカチに包んでバックに入れておきます。片手の中に入るくらいで、ハンカチは見えてもおかしくない小さめのおしゃれなものが着物姿には合います。手で握るだけでも違いますし、もっと暑いときは、顔に当てます。ハンカチに包んでいますから、メイクが取れることもなく、周りから見てもおかしくありません。私も最近、気がついて実行しています。これは着物のときとは限りません。

 外国のある男性が、「世界の民族衣装の中でもっとも女らしくセクシーなのは、日本の着物と、インドのサリー」と書いてあるのを見たことがあります。暑い暑いとだらしなくならないように、汗を出すことも体の面からは大切なことですので、Tシャツのときに思い切り汗を出して、着物のときはしゃきっと、またはしなやかに、涼しそうに、夏の着物を楽しんでいただきたいと思います。

 

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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