かざみきもの学院
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<2010年5月>

 

今誰でもできることは

学院長  川は川上から川下へ流れ、春になると忘れることなく草木も芽吹き、一年経つと子供も大人も一つ歳を重ねていきます。流されてはいけないけれど、できることならこの自然の営みに身をゆだね、歩いて行けたら、そして、その先に憧れや目標を持って過ごすことができれば本当に幸せなことだと思います。
子供たちは大きくなったら何になりたいか夢を持って、何かのきっかけでだんだん変って行く人もあり、子供の頃の夢を実現している人もあります。

 今就職難で、さまざまな情報が流れています。一生懸命受験勉強もして大学に入り、大学は出たけれど・・・という人があまりにも多い。先日ある女子学生の就活で、50社ほどの面接を受け、内定がとれず、「自分は社会に必要ない人間なんだ」と思ったとの言葉が耳に残って離れません。

 お金は誰でも必要なもので、人はお金を与えてくれる方に向く。これは当たり前のことです。お金は安心をくれますから絶対必要なものです。
ただ、どういう形で入るかが問題です。文のトップにあるように、自然な形があります。
今は家族構成、それぞれの事情もあってこの通りとは言えないまでも、普通、お父さん(お母さん)が働いて、得たお金で家族が生活できることで、お母さんも子供たちも、お父さんに感謝し、尊敬し、父親の存在感がありました。
会社では上司と部下の間で苦労し、時にはバカ者よばわりされることもある中でも、家族のために一生懸命働いています。自営業では、自分のことだけでなく、社員の家族のことも考え、色々なことで迷っている方もおられます。そういうお父さんの御苦労を分かってあげられるかどうかなどが問題になっていましたが、今では、時代の波で、減給やリストラ等、もっと切実な心配で不安な日々を送っているところも少なくありません。

 そういう中で、子供手当、高校無料化等、国からお金がもらえるようになります。初めはありがたいと思っても、すぐにそれも忘れ、働かないでお金を与えられることが普通になってきます。国は借金しながら与え続け、そのつけは、その子たちにかかってきます。
最近、子供手当を考えた養子縁組が多く、子供が554人というのが出てきました。これはさすがに認められませんでしたが、では10人なら、いえ1人ならどうなのでしょう。そのチェックをするのは大変なことです。
もちろん生活困窮者に対しての保護は、別の角度からしっかり考えてほしいということは言うまでもありません。

 今一番大切なことは、上から与えられることではなく、自分で働き収入を得られることです。このお金の質の差ははとても大きい。このことを分かってほしいものです。

 政治家は選挙が一番大切、そのために目の前に実際不可能としか言えないような、耳触りのいい、おいしい言葉をあげ、実際に始まると、そのことに振り回され、本来の仕事が見えず、将来どこに行こうとしているのかが分からず、みんなを不安にさせています。みんなそんなに愚かではありません。世の中がどういう状態か、漠然と分かっています。目先のことだけではなく、将来の展望を長いスパンで考え、語ってほしい。納得すれば、我慢もできるはずです。そういうリーダーは現れないのでしょうか。
この時代、誰がなってもすぐに好転することは難しいことも分かっています。周りが一致団結して当たらなければ乗り越えられません。口から出るのは批判ばかり、メディアはさらに掻き立てます。

 不景気ということだけでなく、政治家もメディアも会社も役所も家庭も、後ろ向き、マイナスの会話が多すぎて、さらに暗くしているように思います。
前に書いたかもしれませんが、否定の言葉を口から出す時は、
「その言葉で何かがプラスに変わると思う時」 「言った言葉に責任を持つこと」です。

 みんなが努力して、誰でもできること、それは、「言っても仕方のないマイナスのことはできるだけ言わないこと。みんなが意識して前向きの楽しい会話をするように」したら何かが好転すると思います。
そういう私もここで否定の言葉を随分書きました。言いっぱなしはいけませんね。
今考えている前向きなことを追加します。

 今は、働く場所の確保のためにも外交に力を入れ、世界から失われつつある日本の信用を取り戻すこと、もう一つは、優秀な人材の養成。ある時期から何でもそろえる方向にあり、運動会で順位をつけないなどありました。(最近は見直されているようですが)
普通の勉強の嫌いな子もいます。その子が技術や感性が優れていたりします。中には特別優秀な子がいます。そういう子が家庭の事情で伸ばしきれないのは残念です。奨学金制度を見直し、思う存分伸ばしてあげられるように。その子が日本を引っ張っていく中の一人になるかもしれません。
ただ、どんな優秀な人材でも、勉強だけできる子が大人になって、諸々のことに対応できず、また、まわりの期待が大きすぎて潰れて行かないように、大切なことは、「人として・・」の方は親の役割。お金はかかりません。小さい時は抱きしめてあげる手と、優しい目を。大きくなったらかまいすぎず、ただひたすら自分が一生懸命頑張っている背中を見せることではないかと思います。
やはり最後は今回もここにきてしまいました。

 就活で、「自分は社会に必要ない人間なんだ」と思った女子学生、顔をあげて「内定決まった人もいるのであきらめず頑張ります!」と言ってにっこり笑った顔が印象的でした。その後この明るさが内定に結びついたとのことです。 

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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