かざみきもの学院
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<2010年6月>

 

生き様

学院長  私はよくテレビを見ますが、番組を楽しみにして見るというより、ふとした時に見た内容に引き込まれていくことが多いように思います。私の中ではそれもひとつの出会いです。

 京都大原の里、古民家で、自然の中で、ハーブなど育てながら日本人も知らないような日本の良さを生かして生活している、イギリス生まれのベニシアさんのことは偶然何度か見ることがありました。当初から、ただ日本が好きな外国人が京都の古民家で日本流の生活をしている珍しい人ではなく、端々から、考え方や想い、人となりがうかがわれ、心ひかれるものがありました。
今回は、ハーブの根元に炭を置くことに目がとまりました。ハーブは乾燥しているくらいがいいとのこと。今回は山岳写真家の御主人と一緒に結婚記念日のこの日、大原の里が一望に見下ろせる里山に二人で登る映像がありました。
また別の時間、外でたらいを使っての、シーツの洗濯の仕上げに使ったホワイトビネガーの水を椿、あじさい、くちなし等の根元に。酸性を好むからと。バラにも、野菜畑にも虫よけにハーブを植える。朝、庭仕事の時に飛び出したトカゲに「おはよう!庭仕事を手伝いに来てくれたの?」

 ベニシアインターナショナル代表、ハーブ研究家のベニシア・スタンリー・スミスさんは、イギリス貴族の館と言われるところで生まれましたが、貴族社会に疑問を持ち、人生の本当の意味と目的を知りたいと、陸路インドへ旅立ちました。そこで瞑想を学び、もっと東へと日本へ。京都大原の里、古民家に住み、英会話学校を設立、現在は、ハーブ、ライフスタイルなどでも各方面から取り上げられています。
この方から、諸々の知識だけでなく、季節と自然と手作りを大切に、人として、日本人として、忘れかけた多くのことも学び感じ取らせていただいています。

 次に、もうお一人、心に強く響いた人のことを書きたかったのですが、その後で、本当に出会った人のことを優先し、この人のことはまた別の機会にしましょう

 ある会のナイトセミナーで行われた、写真家、松本紀生氏の「アラスカフォトライブ」でした。松山市生まれのこの方は、人生を模索していた学生の頃、写真家、星野道夫氏の著書に出会い、アラスカに魅せられ、アラスカ大学に編入、アラスカの自然や、写真についての勉強をして、今では1年の半分以上をアラスカ暮らしをしておられます。
夏はアラスカの土地の自然を。今回はクジラの映像です。クジラのグループの計算された共同作業で魚を1か所に集め同時にジャンプし、水面から見えた何頭もの大きく開いた口、一気に沢山の魚を飲み込む迫力に驚くと同時に、どうやって撮影したのだろうとそちらの方も気になりました。

 冬はマッキンリーの山の上に舞うオーロラを求めて、マイナス40度という氷河の上での1か月の一人の生活。初めて降ろされた時の目の前のそびえたつマッキンリーに度肝を抜かれたという感動。黙々と何日もかけて氷の壁や「かまくら」を作り、ただひたすらに、いつ現れるか分からないオーロラを待つ。初めての時は、結局一度も現れなかったけれど、迎えの飛行機の中で、「経験したことのないくらいいい気分だった。やりたいことに精いっぱい取り組んだから」と。このことは少し分かる気がします。
それから何度も出かけ、沢山素晴らしい写真を撮っておられます。
オーロラは本当に美しく、声を上げるほどすばらしいものでした。また一方で、いつ現れるか分からないオーロラを待って一晩中寒さをしのぐため、かまくらの周りを歩いたという一面の足跡を見て、その間何を考えていたのだろうとそんなことも考えさせられました。
冬眠気味だった私は、心が洗われ、感動と元気をいただいたことを早く誰かに伝えたくて書きました。これを書くにあたり、改めてその時求めた本の写真と言葉の一つ一つをゆっくり読んでいくうちにまたあの会場の一体化したワクワク感が戻ってきました。

 氏はオーロラのように神秘的でもあり、湧き上がる情熱のままに、好きなことを求めていく自然体の姿のようにも見えました。
これは、人が誰でも持っている諸々の欲と怠惰の奥に、閉じ込められた「美しいものを美しいと感じ、感動する心」を目覚めさせてくれる魔術のようでもありました。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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