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<2010年12月>

 

成人式

学院長 今年も残り少なくなり、年が明けるとまた成人式で着付士は忙しくなります。以前足袋の履き方が分からないお嬢さんが居て、履かせてあげたお話を書きましたが、ここ何年か、着付士が足袋を履かせてあげることが多くなりました。それは分からないのではなく、ネイルアートの長い爪が邪魔になり、こはぜがとまらないのです。
  成人式を迎えるにあたって、是非読んでいただきたいことを以前万華鏡に書きましたが、ここでもう一度とりあげたいと思います。

◇  ◇  ◇

 今年も、レースやフリル使い等、いろいろな着方が流行ってきましたので、そのあたりも取り入れ、講習はしています。衿元や袖口、帯の上下に白いレースをのぞかせたものや、帯締め帯揚げ、帯飾りその他、小物使いの変化などとりいれていますが、ここで大切なことを書いておきたいと思います。

 昨今、テレビや雑誌などで、変わった着方のタレントの振袖姿が見られます。それはそれで、可愛く素敵な着方もありますが、そのことに関連して、成人式に振袖を着る方へ、伝えておきたいことがあります。

 成人式はとても大切な儀式です。ここ何年か、ひどい成人式の様子の報道があり、成人式をどうするかと頭を悩ましているところもあるようです。親の立場で言うと、お宮参り 七五三 等、子供の成長を喜びお祝いをする儀式の中でも、成人式は特に、子供が二十歳になったことは親にとってとても感慨深いものなのです。これは親になってみてはじめて分ることかもしれません。

 もともと成人式は、日本が敗戦の虚脱状態のとき、次世代を担う青年に明るい希望を持たせ励ましてやりたいと、行われるようになったものです。その頃はもちろん振袖なんか着たくても着られません。それからいい時代になって、親が、子供が無事成長して大人になったことを喜び、女の子には振袖を着せてやりたいという深い思いがあって、着せるのです。振袖を着るのは自分のためだけではありません。

 大人になることは、これまで自分中心に考えていた人が、両親の立場になって考えてみる大きい節目なのです。ご両親、そしてご健在であればおじいちゃんおばあちゃんにとって、あなたの振袖姿は何処の娘よりも一番美しく見えるものなのです。口下手なお父さんは特に、子供だったあなたがいつの間にか美しい一人の女性になってまぶしく見えて、何も言えないかもしれません。

 そして写真を撮りますが、この写真はずっと残ります。あなたのお子さんが二十歳になるとき、開いてみるかもしれません。 レースやフリル、かわいい小物使いで変化をつけるのはいいと思いますが、どこかの雑誌やテレビで見た、着崩したような着方は後で写真を見て、お子さんに見せるとき、恥ずかしいかもしれません。私も、きものショーには、ショーのための面白い着方の作品も出しますが、タレントや歌手の人達の、ステージ衣裳と、成人式という厳粛な儀式の晴れ着と一緒にしないようにと祈る思いです。

 せっかくきれいな振袖を着るのなら、歩き方や、たもとの扱い等、気をつけてほしいことがありますが、ここでほんの少しだけふれてみます。

「振袖 ちょっと アドバイス」

◆ 内股を意識しない
着物を着ると内股に歩くと思っている方が多いようですが、実は膝が開いて、足先だけ内股で歩く姿はあまりきれいではありません。特に後姿は・・・・・。それよりも大切なことは、膝を開かないように、足の内側を意識することです。 鼻緒に深く足を入れ、横から見て頭の先から足の先までまっすぐになるように背筋を伸ばして立ち、そのまま普通にまっすぐ歩きます。

◆ クリップ1本
長時間椅子に掛けるときは、膝の上で両袖を重ねて、クリップでとめておくと、袖を引きずって、よく言われる、「たもとで床掃除」の心配がありません。手を洗うときも後ろで両袖をとめておくと袖がぬれません。

◆ ショール
成人式の会場では、式の間はショールをとるのはマナーです。また外でも写真を撮る時は、ショールの中に首が埋まっているよりは、はずして、左手にかけて持つと、顔から衿元、帯も見えて、全体の姿が美しく見えます。

脱ぎ方
一人で脱ぐとき、振袖の帯結びは三重紐を使ったりして複雑ですので、前で結んでいるものを全部ほどくと帯がはずれますから、下においてゆっくり紐をはずしてください。重ね衿(伊達衿)を縫いつけている場合ははずします。その他、着付をする方は、車の乗り降り、お手洗い、脱いだ後のことまでアドバイスしてあげて欲しいものです。本当はお母様が教えてあげるのが、理想です。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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