かざみきもの学院
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<2005年11月>

 

雪と紅葉 きものの旅 十日町

学院長 11月。この時期になると思い出します。
群馬本校の人達で新潟県十日町へ着物の旅をしました。熊谷から上越新幹線に乗り、群馬と新潟の県境、トンネルを抜けると越後湯沢。11月半ばというのに、トンネルを抜けると雪 雪 雪・・・。皆歓声を上げました。

駅まで迎えがあり、十日町までの道中は降りしきる雪で景色も見えないほどでした。やがて小降りになって外を見ると、まだ葉が落ちていない木々に重い雪が積もり、枝がきしんでいます。以前、紅葉に雪を見た時、その美しさに感動したことがありましたが、紅葉もみんな隠してしまう大雪で、初めて見る風景でした。こんなに早い時期の大雪は珍しく、雪の重みで木が裂けることがあるとのことでした。

おいしいへぎそばをいただいた後は、予定通り染元の見学。1枚の着物ができるまでに、どれだけの人の手にかかっているか、みんな着る人のことを考え、創っていくことを改めて感じました。

引き続き きものメンテナンスの会社見学。私は何度かこちらにはお邪魔していますが、毎回帰るときは、着る側として、背筋がぴんと伸びるような気がします。
十日町は昔から着物の町です。みんなそれぞれ技術と知識と着物への愛情を持っています。着物を大切に大切に扱う姿に頭が下がります。丸洗い、しみ抜きはもとより 黄変している古いしみは、地色を全部抜き(黄変抜き)地色を筆でかけていく、その色彩感覚。箔直しも刺繍直しも・・・。そしてふんわりと仕上げて、新しい着物に変わります。
みんなそこを出る時ため息をつき、素晴らしい・・・とますます着物が好きになったようでした。

あたり一面真っ白な小高い位置に立つホテルは格別のものがありました。雪の露天風呂もいい経験でした。

翌日も、雪の中、きもの姿で車中の人となりました。今度は日本海へ向けてだんだん下りていきます。すると雪がだんだんなくなり今度は見事な紅葉です。そして海に出ました。恋人岬です。日本海を眺めて、また越後湯沢へ。駅へは少し早く着けていただきました。

もう一つ楽しみがありました。新潟はお米、そしてお酒です。駅の奥の突き当たりに、 お酒に関するお店があります。コインで利き酒をしてお酒選び。ケーキもお饅頭もその他のお菓子もみんなお酒が入っている。お酒の大好きな○○先生は大喜びです。(その奥には酒風呂もあり、私は以前プライベートで行ったときは、その駅の中の酒風呂に入りました。)

1泊2日の短い旅行で、雪と紅葉、山も海も、そしてお酒も、そうそう大切な着物を作る過程と、メンテナンス。沢山のことを経験できたと大満足で帰りました。

その十日町、小千谷 塩沢 このすばらしい着物の里が震災にあいました。
あれから1年経ちました。あの大きな被害の中、私達の着物は大切に守られ、何事もなかったようにいつもと同じ、きれいにして送ってくださっています。
当時、避難場所や車の中から出勤した方もおられると聞いているだけに、きれいに仕上がった着物が送られてくる度、このことを思います。
先日、おかげさまでと、魚沼産こしひかりが送られてきました。被災地の方からお米が送られてくるなんて・・・。

1枚の着物ができるまで、さらにはそれをいつもきれいにしておくのに、どれだけの人の手にかかり、どれだけの人の想いと愛情を受けているかを認識し、大切にし、どんどん着てあげることが着物も喜び、かかわった方たちへのお礼の気持ちにもなると思います。

 

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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