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<2011年11月>

 

「淑女のルール」?

学院長 本を買う時、以前は本屋さんで、求める本の、著者のプロフィール、前書き、後書き、内容をぱらぱらと見て買いました。また、ついでに平積みになっている最近話題になっている本を見たりしていましたが、今は便利になったというか私が無精になったというか、ネットで買うことが多くなりました。
何度か買うと、その人の関心のあるものがインプットされ、関連の新刊が出るとメールで案内がきます。
多くなるので迷惑メールに入れているのですが、今回削除しようと思った中に、「淑女のルール」他・・という文字が目にとまり、今、この時代「淑女」という言葉をどうとらえているのか興味があり、開いてみました。

 ネットの本は本屋さんで手にとってみるほど詳しく知ることはできません。すべてが本当に良かった物もありますが、中には期待したほどではなかったものもあります。それは承知の上です。今回は、ちょっと興味があったので、レビューを見てみました。項目一つ一つアンダーラインを引いて実践していますという人、現在にはそぐわないとの意見 予想した通り両方ありました。

 本は1項目を1ページにまとめ50のルールをあげていました。インテリアデザイナー加藤ゑみ子氏の、3冊の本をベースに編集し、加藤氏が監修したものでした。何でもそうですが、その道に入ると、またはある年齢になると、当たり前と思っていることが、そうでない人には、新しく大切なことであったりしますので、形から入るのもいいと思います。項目を見ただけで内容が分かります。
私は淑女に憧れはありませんでしたが、大人の女性への憧れは若い頃からありました。着物の道に入ったのもそのためかもしれません。

 昭和女子大・学長の坂東眞理子氏の「女性の品格」が静かなブームを起こしました。
何かに書いていたのを見たのですが、徹子の部屋に出演された時のお話を見た人が、「あんなことを書いているのに、子供さんに寂しい思いをさせ、子育てに失敗した」「部屋の掃除が・・」と一部を取り上げ批判をしました。それに対してある人が、「働く母親は子供に寂しい思いを必ずさせている。けれどもその分だけ子供が大きくなって母親を認め尊敬し誇りに思う人が多い。」「忙しいとどこかで手抜きをしなければいけない。自分もそうだけど、食事 洗濯 掃除とあると、どうしてもしなければいけない順番は、食べることがまず最初で、洗濯 掃除の順で、掃除は最後になるのよ。」と書いていた文がとても面白くて思わず拍手。

 ここのところ、若い人の言葉や文が乱れているように思います。テレビの中で芸人さんが笑いやウケを狙って、または番組の中で作られたキャラで、何かを食べて「うまっ!」とか、女性が「・・・じゃねーよ!」などと言いますが、他の時にはきちんと話せる人がほとんどであることを知ってほしいと思います。
けれども現在では、あまり丁寧すぎるより、「ですます調」の、正しい日本語で、必要な時には敬語も普通に話せることでいいと思います。
 
 また成人式が近くなり、そのための講習会も行う季節になりました。
先日、本校で11月同じ日に各々行う、「成人式のための振袖着付けと帯結び講習会」の内容の打ち合わせをしました。新しく帯結びや小物などの扱いは行いますが、改めて「おいらん」とか「肩出し着付け」はお断りするようにと確認しあいました。ショーや何かのイベントでは、前結びや変わった着付けはします。けれども一生に一度の大人になったことを祝い、両親に感謝する記念すべきこの日の装いは大切なものです。将来お子さんが成人した時、見せられるような写真であってほしいと心から願っています。

また、着付ける側は、求められれば何でもするというのではなく、いつもその方のことを考えてお着付ができるようにと着付士の役割を確認しあいました。初めて着る着物が振袖の方もおられます。歩きやすいように、また、お袖の扱い、ショールの扱い、写真の撮られ方など、そしてまた、着た後の手入れ等、時間があれば教えてあげられる着付士であってほしいと思います。

 着付けの依頼が入りました。妊婦さんの振袖です。11月御家族と一緒に写真を撮りたいとのこと。
妊婦さんは月数が分かっていても皆同じではなく、何かがあるといけませんので好ましくはないのですが、その方のお気持ちも分かります。楽に着られて着崩れない着装具をお貸しすることにして、お受けしました。

 「着物は格とか季節とか決まりごとがあって面倒で・・」と言われる方が多いようですが、正式な「式」の場合以外は自由に着ていいと思います。季節の寒暖も乱れているこの頃は、「袷は・・単衣は・・薄物は・・」と決めてしまわなくていいように思います。快適に着物を着ることが大切です。
ただ、日本ではどの分野でも季節感を大切にします。季節を感じ、季節を演出できることは色々な意味でもゆとりを感じ、素敵な大人の女性の条件に入っています。
暑い日の続く5月、早くから単衣の着物を着て、絽の長襦袢に普通の半衿をつけて暑さをしのいで過ごしていて、以前から決まっている6月1日の「衣替え」には、同じ着物でも、この日に、半衿、帯、小物等を夏ものに変えるという繊細な感覚はやはり素敵です。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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