かざみきもの学院
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<2012年3月>

 

私が目指すもの

学院長 学院では、本校、松山校共、それぞれ年2回の「着物の集い」を行っています。今年は2月19日、26日と松山校、本校で行われました。

 松山校では、愛媛県南予、八幡浜から、出席された方がありました。当時土曜日クラスで八幡浜から熱心に通い、資格も取得されました。結婚出産子育てと、忙しい日々だったと思いますが、同期の人からのお誘いを受け、懐かしいお顔を見せてくれました。
また、香川県高松から来られる方は、前日夕方からの雪で心配していましたが、やはり高速バスが運休、JR列車で来られました。四国はあまり雪が降らないので、たまに少しでも降ると交通が乱れます。松山はいいお天気でした。

 今回は、会員の方のお世話で、フィリピンからの御家族4人の方が出席されました。お父さんが、愛媛大学農学部に留学、その1年後に2人のお子さんとお母さんが来られ、子供たちは松山の学校に入りました。一方で、何年か前、学校の先生を定年退職された方が、かざみに入学、資格も取得されました。英語の先生でしたので、その学校からの依頼で、その子達のお世話、指導をしておられますが、来年帰国するので日本のこういう席に招待してあげたいとのことでした。お母さんはとてもきれいに着こなしておられました。皆さん楽しんでいただけたようで、最後のジャンケン大会では、まるで台本があったかのように、偶然にもその3年生の女の子が優勝しました。

 また、県庁にお勤めしている方ですが、県や市のイベントには、皆さんの着付けをしておられます。年2回のこの会には、よく、お友達、後輩等に着付けをしてあげて一緒に出席してくれます。

 1週間後、本校でも同じことが行われました。卒業生が、結婚して東京へ行かれてからも、よくお子さんを連れて出席してくれました。しばらく間があきましたが、今回久しぶりの参加でした。お母さんに手をひかれ、「セーラームーン」だった(?)お子さんが、美しいお嬢さんになり、今年は成人式、振袖姿での出席でした。
今、結婚子育てで何年かブランクがあったけれど、お嬢さんの後押しがあり、研究会に熱心に出席している方がおられます。今回はどうしてもはずせない仕事で欠席だったのですが、お嬢さんが「行こうと思っていたのに・・」と、残念がっていて、今度は友達も一緒にとのことです。

 色々な方が、結婚、出産後、お子さんを連れてよく出席してくれました。男の子もお父さんも一緒の方もおられました。まだ小さいお子さんがいるので、「お母さんは無理だけど」と、男の子と女の子と一緒に、お父さんが出席される方もおられます。とても穏やかで前向きな方で、「子供たちを、小さいうちから、色々な席に出させてやりたい」と言われたのを覚えています。その後はお子さんが楽しみにしてくれていると同時に、みんなが「今回、○○ちゃんたちは?」と言われるほどになりました。
子供たちは、そんな中から、静かにお話を聞く時間、みんなと一緒に楽しく遊ぶ時間をわきまえて、どんなお席にも出られ、マナーも自然に身についてくるようになっていきます。

 以前は、着物は母から娘へと伝えていき、着物を通して色々なことを教えていったものですが、ある時期からだんだん着物離れの傾向があり、お母さん世代が分からない人が多くなりました。それを憂い、和装教育国民推進会議等が中心になり、学校教育の中に取り入れようという声が大きくなっていきました。そしていよいよ来年度の中学校の家庭科の教科書にも着付けが入ってくることになりました。
このことは本当に喜ばしいことです。けれども、着物のことは母から娘へ、着物を通して母と娘がいい関係を作っていくことが何より良いことには変わりありません。

 「着物の集い」は、生徒さんへは強制でもなく、着物の競い合いでもありません。
家族や友達、また、知らない人でも希望して来られた方には、一生懸命、着付けをし、写真の撮られ方のアドバイスをし、カメラを向けているスタッフの様子を見ても、そしてまた、次に続く人達もこの先輩の姿を見て、着物を着ること、着せてあげること、「誰かが喜んでくれることの幸せ感」を感じ取ってくれていると思います。
そのことは私の何よりの喜びです。そしてまた、楽しみながら自分を高めていくと同時に、母と娘の、家族の、友達との、良い関係づくりをする場所として役立ってくれればと思っています。

 これが私の目指すものであり、このことがあるから続けて来られたと思います。
ここに来るまでに、何度か、「どうありたいのか」自分に問いかけながら歩いてきました。そして今、着物を通してこれらのことができることを実感しているところです。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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