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<2013年1月>

 

漫画から学ぶ

学院長  明けましておめでとうございます。万華鏡を見ていただいている皆様、昨年はありがとうございました。今年もよろしくお願い致します。

いつものように年末には群馬の家に帰りました。次女と結婚した彼が、久しぶりの休日で、山スキーに行きました。学生時代北海道に6年も居たので、雪は特別のものではないようです。雪の深い地方の方が言っていた、 「ちょっと時間があると一人でも滑ってくる」 との言葉を思い出しました。
山スキーは群馬に来てからとのことで、四国に育ち、雪に関する知識のない私には、ちょっと心配なところもありましたが、今でも師匠と呼ぶ方の審査(?)に受かって仲間に入れていただいたとか。

ちょうど次の早朝、偶然、テレビをつけていたら、ホリディーインタビューで、漫画家 『石塚真一』 氏が出ていました。筑波山を登りながらのインタビューでした。思わず引き込まれて見てしまいました。後で聞いたら彼はもちろん、娘も良く知っていました。恥ずかしながら私は知りませんでした。
『ビックコミックオリジナル』 では 『岳みんなの山』 で、単行本では 「岳・ガク」 、小栗旬 長澤まさみ主演で映画にもなり、多くの人が知っているとのことです。
 
  私同様知らなかった人のために簡単に紹介します。石塚真一氏はアメリカ留学時代、気象を学びロッククライミングを通して山に魅せられ、帰国後就職した会社の1年での倒産を経て、以前から思っていた漫画を描くようになりました。専門の勉強をすることなく、独自で、 「漫画の描き方」 の本を見て始めたということです。前に書いたように、大勢のファンがいます。また、本物の山岳救助隊員から漫画を読み「救助の時にどんな言葉をかけるか考えるようになった」 と言われたこともあったそうです。実際に山岳救助隊から依頼があり、お話に行かれることもあるようです。

 石塚氏は、「日常ではもちろん、他のスポーツでも失敗することはよくある。けれども冬山で失敗してしまうとそれがすぐに死に直結してしまう。わずかのミスに対して、周囲が厳しい視線を向けるのも事実だけれど、遭難して、救助をするまでに、その人は一生懸命頑張ったはず。だから初めにかける言葉は 『よく頑張った!』 「もう大丈夫」。

 漫画も読んでいない私が、一度でどうして引き込まれていったのでしょう。氏が言われる 「プロセスの大切さ」 発する言葉は 「よくがんばった!」 「失敗しても大丈夫」 この言葉かもしれません。
ほとんどの方面で評価はプロセスではなく「結果」というのが現状です。その人のプロセスを、その人の立場になって見てくれ、その人の思いを考えてくれることは本当に少ないと思います。大分前にどなたかが言った言葉で、とてもよく覚えていることですが、「子供が、学校の先生でも、部活の先生でも、塾の先生でも 近所のおじさんでも、大好きな大人が一人でもいれば、その子は心配ない。」このことは私も納得して、何かの時に話したことがあります。

 喧嘩をした時も、必ず理由があり、その子の言い分をその子の立場で聞いてあげることで、子供は引きずらないで、気持ちの上で解決できることが多いはずです。気持ちが落ち着くとその人の言うことはまっすぐに入ってきます。その人は、お父さんでもお母さんでもいいけれど、高学年になると他人の方がより効果的です。否定の言葉はたいていの人は好きではありません。小さな達成感、幸せ感を積み重ねて成長していくことができれば、安心でき、他人の立場も考えられる人になれると思います。
たまには否定され否定され、反骨精神から大きな会社の社長になる人も居ますが・・・

 漫画 『はだしのゲン』 の作者中沢啓治氏が亡くなりました。氏が広島の原爆投下によりその戦禍をどう生き抜いたか実体験をベースに描いた作品ですが、この漫画を通して反核、反戦をうったえ続けた方です。一般の人にも入りやすい漫画を通して、とても大切なことを表現し、多くの人に伝えようとしておられた方々に今改めて教わったことの大きさを感じます。

 久しぶりに群馬に帰ってきて大掃除をしていて、家にも漫画があるのを思い出しました。これは結婚してから私が買ったものですが、本の整理をして処分する中でもずっと残しているものです。
日本の古典、 古事記 竹取物語 伊勢物語 から始まり枕草子 源氏物語 平家物語 ・・・・と続きます。これを一部読んだ時、内容が分かっていれば、難しい文章も楽しく読めたのに、高校時代にあればよかったと思ったものです。

 あることを思い出しました。父が亡くなる1年ぐらい前、「『徒然草』はどこにあるか、読みたいので返してほしい」 と言っていました。どこまで読んだか聞くこともできませんでしたが私は漫画で開いてみました。もう少し落ち着いたら父の本で読んでみたいと思います。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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