かざみきもの学院
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<2013年9月>

 

「守りたい」

 万華鏡を書く目的は、着物のことを授業とは別に見方を変えて伝えたいという思いと、卒業生や、気持ちはあったけれど、それぞれの事情で辞めなくてはいけなくなった人などへ、全国どこでも見られるメッセージでもありました。また、個人的には、その時その時、自分が何を考えていたか残しておきたい思いもあったことは事実です。

 着方だけできればいいと、団体で3か月ほどで終わった方は、プライベートまで踏み込むつもりはありませんが、ずっと頑張って資格をとっていった方、事情のあった方々とは、人と人との触れ合いができ、どうしておられるか思いをはせることがあります。生きていく中で、ご自身の仕事のこと、健康のこと、子育てのこと、ご両親の健康のこと、ご夫婦の問題などいろいろなことに出会います。着物と同時に私の大きなテーマでもあった、 「女性の生き方」 を考えることがあります。

 テレビで一人の人が悩みを話し、数人の方がアドバイスする番組があります。私はあまり見ないのですが、たまたまテレビをつけたとき、川島なお美さんが出ていました。私はこの万華鏡で、個人のことを書くのはできるだけ控えていましたが、テレビに出て話したのだからいいということで皆さんにも具体的で分かりやすいと思い書くことにしました。見た方も多いと思います。
あまり詳しくはないのですが、川島なお美さんといえば、目の病気をかかえるパティシエの夫、鎧塚さんとも、これまで幸せいっぱいという部分しか見せてなかったように思います。
この日、 「夫が怖い、外ではにこにこ、家ではこんなことで・・ということがよくある。」 との悩みに、心理カウンセラー心屋仁之助氏がいつものように本音を言わせる言葉を次々出していきました。
完璧主義で、自分の弱さを人に見せることができない、ご主人を支えるために自分が強くなければとご主人に本音が言えない状態を取り上げ進めていきました。

 私がここで取り上げたいのは、この次です。終わった状態で、皆が注目から解放された最後に、心屋氏が、つぶやくように、ひとりごとのように、言われた「守りたい・・」この言葉は私の中に強く入ってきました。 「男は守りたい。」 大切な人であればあるほどその気持ちは強く、それができないいらだち、不満も言わず完璧にこなしている妻を見ていらだつことはあります。男は守られるより守りたい思いの方が強い。これは本能といえるかもしれません。

 もう一つの言葉です。先日、青木さやかさんが、トーク番組に出て、お子さんのこと離婚のことなど話している中で、とても心に残る、というよりとても納得する、実は私もずっと思っていた言葉がありました。さらっと言った中で、離婚前の義父の方が、向き合ってよく話せというけれど、 「向き合わないで二人が同じ方向を見て・・」 という言葉がありました。この言葉はとてもよく分かります。もちろんこれは、向き合って座るか、同じ方向に座るかという単純なことではなく、将来のことを考えるようにというお父様の想いであったことは分かります。

 それはそれとして、実は単純に位置関係で違うことがあります。二人が直接向き合うと、言いにくいこともあり、状況のよくない時は議論だったり、相手のダメ出しだったりします。
彼といるとき、向き合うより同じ方向を見る、二人が同じものを見る時の方が本音で話せることがあります。二人で食事ではなく飲みに行くときはカウンターがおすすめです。話のようなひとりごとのような言葉が出てきて、より素直になり本音で話せます。無言の時間もそれは大切な時間です。
彼に、ご主人に、言いたいことがあった時、面と向かってダメ出しするより、同じ方向を向いて話しているとき、 「こうしたい」 「こうしてほしい」 と静かに言うと効果抜群です。ただしその時は一つだけ。

 最後に。あなたが完璧を目指して、できないことで自分を責めるより、言葉に出すことではないけれど、例えば彼がどんなに病気で弱っている時でも、あなたを大切に思っていればいるほど、 「守りたい」 という思いがあることを、知っておいてほしいと思います。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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