かざみきもの学院
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<2013年10月>

 

もっと素敵に!もっと快適に!

  各地で例年にない猛暑に悩まされた夏が終わり、いつもの秋が忘れずにやってきました。美しい季節のうつろいが狂ってしまうのではと心配しましたが、空も、風も、植物も、着実に秋色に向かっています。

 久しぶりに着物のお話です。松山では、毎年詩吟大会に、かざみから10人の着付士が会場に着付けに行きます。今年も9月25日、中四国60回大会ということで、県民文化会館大ホールで盛大に行われました。

 以前群馬本校でも、舞踊の発表会の舞台メイクと着付けに、20人で行っていました。この時は毎年私も一緒に行きました。裾引き着付けや特殊な着付け、進行との着替えのタイミングなど、全体を見る必要がありました。もう一つ目的がありました。広い着付け室でしたので、次の人の勉強も兼ねて、次回は実際に自信を持って着付けができるよう現場を見ておくことは、大きな力になるという考えから、場所があれば何人かお手伝いということで入ってもらいました。

 松山は、男物袴姿も多いですが特別のものもないので、また、このメンバーで十分できると思い私は行きませんが、ぶっつけ本番で何人着せたか分からないという状態ですので、早く着せるためのいい訓練にもなると思っています。終わった後でのメール報告では、「楽しかった」「皆さんに喜んでいただき嬉しかった」「充実感でいっぱい」「会を重ねるごとに自信もついてきた」と、回数の浅い人は特に、感動と、達成感があるようです。この後、研究会等で詳細を報告してもらいます。

 このメンバーを中心に、今度は成人式の着付けにチームを組んで色々なところに分かれて行きます。成人式が近くなる11月、12月は、研究会とは別に、少し間があいた人は確認と自信をもって行けるように、自主的に授業に出てくる人もいます。当日は、それぞれの場所の責任者から「終わりました」という報告がメールで次々入ってきます。
こちらも詳細を報告してもらいます。「外に出ればプロ、教室はできないことをさらけ出し、解決する場所」 喜んでもらえても自分の中で気になるところや改良点があればみんなで共有していく。謙虚で前向き、みんなで高め合うこの人達が、私の財産であり、この人達が、次に続く人を受け入れさらに大きく活躍してくれるものと確信しています。
プロとして広く着付けができることはもちろんですが、もう一つ、着物の素晴らしさと、実感している、着る楽しさを多くの人に伝えていくことも大切な役割であることは言うまでもありません。

 今私は、ずっと考えていたことをしようと思っています。振袖のお嬢さんが、立派な着物・帯・その他一式を身に着けているのですが、着物に着られている、着物に負けているという状況によく出会います。「馬を乗りこなす」という言葉がありますが、「着こなし」は「着・こなすこと」であって、着物を着て自由に動けることから始まります。主役は着物ではなく自分でなければ、もったいないと思います。 「着物姿の美しさはその動きの中にあります。特に大人の着物姿の美しさは自然に振舞う所作から見えるその人らしさです。

 最近では新成人のお嬢さんをお持ちのお母さんが、若くて着物にあまり馴染みがない、核家族で教えてくれる年長者の方もいないという状況の中、お困りの方もおられると思います。
私が長年この仕事をしてきて、ずっと言い続けていることがあります。「新しいものがどんどん出てくる中で、娘から教わることが多くなったけれど、着物のことは母から娘へ教えてあげる」「着物を通して母娘の会話」これが日本の母と娘の理想の関係と思っています。
着付けに必要な物、たたみ方しまい方から、歩き方、椅子の掛け方、車の乗り降り、袖の扱い、お手洗いの時の注意点まで、そしてまた、美しい写真の撮られ方等も知っておくと楽しくなります。

 着物初心者の若い方に、有名な作家の着物、高価な紬類等、着物そのものの価値を伝えることよりも、こちらの方が先だと思います。だんだん着物を着ることが楽しくなって大人になると、高価な紬もその価値が分かってきます。それが分かるころには、反物になるまで、着物になるまで色々な人の手を通ってきたぬくもりや、おばあちゃんがよく着ていた着物のぬくもり等も分かってきます。それが大人の女性になった一つの証とも言えるでしょう。

 11月17日、松山市総合コミュニティセンターで、公開講習会『振袖と大人の着物の着こなし術』を行います。お嬢さんのいらっしゃる方はできればお二人で、無理な方は、お母さんが出席して教えてあげるのもいいかもしれません。大人の着物の部分では、私が、長い間着物を着て、経験から生まれた実用的なコツなどもお話します。どなたでも出席できます。 → 詳細はこちら

 

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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