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<2013年11月>

 

無形文化遺産「和食」

 先日のニュースで、「和食」が、「無形文化遺産」としてユネスコの事前審査を通り、12月に正式に登録が決まる見通しとありました。今、日本でも健康にもダイエットにもいいと、栄養バランスを考えた、タニタの食事をはじめ和食が人気です。世界でも健康にいい和食は人気があり、各地で和食のお店も増えているのは知っていましたが、「無形文化遺産」ということに興味を持ち、少し調べてみました。
ユネスコ(国連教育科学文化機関)は、遺跡や自然が対象の「世界遺産」、芸能や祭り伝統工芸等の「無形文化遺産」、文書絵画写真等の「世界記憶遺産」を「三大遺産事業」としています。日本の「和食」はこの「無形文化遺産」になります。
食については、料理だけではなく各地の伝統や儀式とのかかわり等が加味されるとのことです。
四季や地理的多様性による新鮮な山海の幸、自然の美しさを表した盛付け、正月や田植えなどの年中行事と密接に関連し、健康や環境に配慮した和食は、食材や料理法だけでなく家族や地域の結びつきを強める「日本食文化」として登録を目指しました。

 日本で長く和食を食べている人たちも、特に、最近は、塩分を控えてだしと素材の味を大切にという方向に向かっています。普通に考えてもこの和食は世界に誇れるものとずっと思っていましたのでとても嬉しいです。

 ちょうどこの日、四国愛媛県新居浜市のアマチュアカメラマン新藤氏が、里山の四季折々の豊かな自然と、共に生きる人々の姿を長年撮り続けたものを、喜寿を迎えた人生の集大成としてまとめ、「四国里山 原風景・暮らし」として発表されたことがテレビでとりあげられました。
長年撮り続けた写真の風景も昔とは大分変わっているので、とても貴重なものになったと思います。「失われつつある昭和の原風景は日本人の心の古里、次世代に伝えたい」と、新居浜市内の小中学校、四国の県立美術館等へ贈られました。第2弾を期待する声も多く、遍路をテーマに構想を練っておられるとのことです。

 よくあるお話ですが、都会で人にもまれ、競い合い、企業戦士として、働いてきたお父さんが、定年退職をして、これまで家庭のことをかまわなかったので、これからは家族のためにと思っていたら、家族はお父さんのいない生活の中から、友達や趣味、それぞれの世界を見つけて、お父さんがずっと家にいることに戸惑い、三食食事の支度をするのが負担、自由時間がなくてという人、中には旅行は二人で行くより友達と行く方が、という人もいるようです。お父さんにしては何とも寂しいお話です。
中には、定年前に退職して田舎に住み、自分のできることを活かし、地域の人にも教わり、交流を深めて、「やっと人間らしい生活が」というご夫婦もあります。自分の世界を作り上げているお母さんは、いまさら田舎暮らしはいやという人もあり、単身で住み、たまにお母さんが来るというパターンもあるようです。

 いずれにしても、人は誰も根底には自然を求める気持ちがあります。それぞれの生き方により、早く気づく人、気づかない人ありますが、本能としてあると思います。
私の着物とのかかわりの中でも、始めたころは、他人の言葉で何も思い入れもない「伝統の着物」から色々な物に挑戦し、自由に着る「ファッションとしての着物」それから「女性を外から内から磨き高める着物」そして、「ぬくもりの着物」と変化していきました。そして今、日本人が日本人である証の「本能としての着物」になりました。

 私は、生け花は学生の頃から「池坊」、次に「草月」と習いましたが、その道を深めることもなく、今行き着いたのは、花屋さんで買う花ではなく、自分の家の庭で咲いた花を摘み、花器を選んで生けることです。 いいえ、行き着いたのではなく、前々から思っていたようです。自宅の庭を造っていただいた時、四季折々に咲く素朴な花木を必ず入れてくださいとお願いしました。品種改良で珍しい花よりも、昔からある花が庭で自由に咲いたものを、部屋の邪魔にならないように小さめに生けるのが、一番好きです。残念ながら、松山生活が多くなり、マンションのわずかな花壇と鉢植えになってしまったので、望み通りにはいきませんが、小さな花、オダマキ ミヤコワスレ キキョウ ナデシコ ホタルブクロ等集めて狭いながらも場所を確保しています。

 日本人は皆、和の心が必ずあると思います。和食・里山・着物・・・
日本の和の心を大切に、それぞれの分野でその素晴らしさを守り伝えていくことが大切であることを再認識し、自分が目指すものがよりはっきり見えてきました。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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