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<2015年8月>

 

尊厳死

 8月といえばやはりお盆。(7月の所もありますが現在では8月が多いようです)私の知人でも今年新盆の方が何人もいらっしゃいます。四十九日を終えて初めてのお盆を「新盆」にいぼん あらぼん、また「初盆」はつぼん というところもあり、地域によって言い方は違うようです。この時期になると、毎年亡くなった方のことを思い出します。身内だけではなく、色々な面でお世話になった方、教え育てていただいた方々、そして若くしてあちらの世界に導かれた方・・・。毎日それぞれ自分のことでいっぱいで、つい忘れがちな人達のことをこの時期、是非思い出して下さい。

 お話は変わりますが、先日ニュースで、平均寿命が取り上げられていました。日本は、女性86.8才、男性83.5才。女性は3年連続世界一。男性も過去最高の3位とのこと。それは、医療の問題、健康意識が高いこと、そして日本が色々な面で安全であることなど様々な要因があげられますが、大切なのは「健康寿命」ということは言うまでもありません。

 その生きることの延長に、終わり方があるという考え方、このことはかなり前から考えていました。その頃、医師である友人にこんなことを言ったことがあります。「医師が部分だけを診て見て全体を診ない。病気だけを見て人を見ない人が多いように思う。そういうことの延長に、本人の苦痛を伴う延命があるのではないか。」というようなことを色々な話の中で遠慮もなく話してしまいました。

 そのことをしばらく忘れていましたが、最近「尊厳死」のことがよくとりあげられるようになりました。私も一度講演を聞きにいったことがありますが、大勢参加しておられました。医療の技術の進歩が、一面では、苦痛を伴う延命治療を生み出しているのではないか。 本人の意思を尊重した終末期医療、それに携わる医師の免責の保障等、尊厳死の法則化に向けて、医師もそしてまた、「人として」終わりを迎えることを願う患者側もその方向に向かって、大きく動いているのを感じました。

 私はこの仕事をしながら、かなり前から、人それぞれの「生き方」「考え方」ということに興味を持ちました。その頃東京での、着物の勉強とは別に、異業種の人の勉強会にもよく参加しました。色々な人と接する中で、気づきがあり、物事のとらえ方も、考え方も変わってきました。
以前友人と話をした時は、人の命と着物では重さがあまりにも違いますが、私なりに自分の道での取り組み方をはっきり意識したことも思い出しました。

 今回は長々とそのことを書くより、それぞれが亡くなられた方のことを思い出し、人の命について考えてみていただきたいのでこのくらいにします。

 6月の娘達夫婦との5人の1泊旅行は、尊厳死協会の会員証〈尊厳死の宣言書〉を子供たちに見せ、自分の意思を伝えるための旅でもありました。

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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