かざみきもの学院
トップ 学院長 本校 松山校 万華鏡 イベント アルバム

<2016年9月>

 

夏の終わりに

 2016年(平成28年)の夏が終わろうとしています。リオオリンピック、東京都知事選で女性の都知事誕生、今までにない不思議な動きの台風・・・。この夏は色々な面で忘れられない年になりました。私も珍しく、オリンピックはリアルタイムで見ることが多く、寝不足が続きました。都知事選も、ニュースやネットで、動きをいつもより丁寧に見ました。

 オリンピックでは日本の活躍は素晴らしく、何日も日本中が盛り上がりました。最近では、色々な面で日本の、日本人の、素晴らしさを外国人からの目で見る番組がよく見られます。同じ職種の外国人が、日本の技術やシステム、行き届いた衛生管理、心配り等を視察して 「スゴイデスネ!」 という番組をはじめ、いろいろな面で外国人から見た日本の素晴らしさを表現する形の番組が増えてきました。一方では、『制作側が日本人で、外国人に 「スゴイデスネ」 と言わせる、日本人を持ち上げる番組で、日本人の謙遜、謙虚さはなくなったのか』 との批判組もあるようです。その意見も分からないわけではありません。
けれども、やはりオリンピックでメダルは本人だけでなく、国民皆が嬉しいように、また、そういう番組を見ると素直に日本人でよかったと思ったりします。

 もうひとつの見方としては、自分の周りに存在するものの価値に気づくことなく、外国の物がステータスと考えている人が以前は多かったようですが、最近では食品、その他、日本の物は安心と思えるようになってきています。また、各方面の繊細な修復の技術等を見ても、今でも、報酬を越えた 「職人魂」 を感じるところが沢山あり、そのことは日本人として誇りに思います。

 このことは、「物」 だけではなく 「自分の周りに居る人」 においても同じことが言えると思います。成長とともに広く色々な人と出会い、様々な経験の中から気づき、学び、その上で、改めて、自分の近くに居た人達のことを思います。(たとえ距離は離れていても、もし、あちらの世界に居るとしても・・・)
「 日本 」 に対する想いと、「 父母 」 に対する想いはよく似ているように感じます。

 台風に関しては、「不思議な動き」 などと言ってはいられないほどの、各地に甚大な被害をもたらし、その方々のことを思うと、どう表現していいか分かりません。今後もどこで何が起こるか分かりません。

 夏も終わろうとする頃また1人、高校の同期の方があちらの世界に旅立たれました。高校時代は、ずいぶん前のことなので、男子とは (特に違うクラス) あまり話すことはなかったように思います。卒業して皆それぞれの道を歩き、私はある時期から地元を離れ、長い年月が過ぎて、松山に帰ってきました。この長い年月が空いているにもかかわらず、同期ということで、気持ちよく迎えていただき、何人もの方にお世話になり、この仕事もできるようになりました。

 不思議なもので、それだけの年月があっても、何回か集まりに参加していると、ずっと友達だったような気がします。この方は賑やかという感じではありませんが、静かに人の話を聞いてみんなの面倒を見てくれる人でした。私が、松山で、全国きもの指導者協会の開催校として、全国の先生方をお招きして、総会とショーを開催した時のことを思い出します。各地区とも開催時には、地元の来賓の方をお迎えします。私がまだ松山での人脈もあまりない中で、市長さん (現知事) を紹介していただきました。
お葬式には多くの同期の人達と一緒にお別れをしました。      合掌

 私は、いつの頃からか、人が亡くなるということは、あちらの世界で求められて逝ったと思うようになりました。夫が亡くなった後も、周りの人の面倒を見る人 (私よりも) でしたので、求められて逝った。私はまだこちらの世界でしなければいけないことがあるから生かされていると思うようになり、以前よりシンプルに物事を考えられるようになった中で、自分なりにどこかに、ある種の使命感のようなものを感じて日々過ごしています。


バックナンバーはこちら (毎月5日更新)

渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
▲このページのTOPへ
©2005 かざみきもの学院