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<2017年8月>

 

日野原重明医師から

 日野原重明先生(聖路加国際病院名誉院長)が、7月18日 105才で亡くなられました。100才を越えて精力的に活躍される姿が、生きがいをもって自立して暮らす高齢者の目標になり、勇気をいただいた方も多いと思います。

 キリスト教の牧師の次男として生まれ、ご自身も洗礼を受け、少年時代医師が母親の命を救ってくれたことから医学の道を志したとのことです。大学時代結核のため、長期療養も経験されています。医師になってからは初めて、患者(少女)が死を悟り、別れを告げた時、救命処置に振り回されて、安らかに看取れなかったことを終生悔いておられ、「患者のための医療とは何か、一生涯を掛けた問いとして持ち続けておられました。

 「成人病」 から生活習慣の改善により、予防につながるとして 「生活習慣病」 へと、予防医学を社会に根付かせることにも尽力されました。
アメリカでは患者の一部分だけではなく、総合的に、人格や意見をも尊重する 「全人医療」 を学び、帰国後は特に看護師の育成に力を入れ、人間ドック、終末期医療の充実、また、「命の授業」 を通じて小中学生に命の尊さを伝える等ご活躍されました。

 赤軍派による 「よど号ハイジャック事件」 のことは記憶にある方も多いと思います。この機内には日本人ばかりでしたが、ハイジャック犯は英語で話していて、福岡から帰りの先生がその会話を訳し、麻縄で縛られている人質を前に、冷静にハイジャック犯と会話をし、一方では犯人に分からないようメモで 「機体を安定させるように」 など指示を出していたとのことです。
後に赤軍派の若林容疑者が、「我々の思い上がりを気づかせてくれた恩人。できれば会って直接お詫びしたかった」 と、親族を介して手紙を渡していたことも分かったそうです。

 また、地下鉄サリン事件では、聖路加国際病院に640人もの被害者を受け入れ、救助活動にご尽力されました。(広大なロビーを設けることに当時は賛否あったようですが)

 医療は驚くほど進歩しています。私は医療のことは、無知の部類に入ります。日野原先生にお会いしたこともありません。今回は、色々な物を見たり、調べたりしました。医療が進歩しているだけに、今患者が求めているのは 「全人医療」 、これだと思います。

 私は言葉を大事にします。誰かの言葉でも、その方の生き方から出てくる言葉は心に響きます。日野原先生のお言葉の中には、人に向けた格言も沢山ありましたが、私が一番 響いた言葉です。ご自分に向けたものですが、きっと何人もの方が自分のことに置き替えて、忘れない言葉になると思います。

よき眼と耳 暖かい手と配慮の心
しみこむような言葉を持ち
患者と家族に接したい

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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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