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<2018年2月>

 

成人式 母の想い 母の役割

 今年の成人式の着付けも無事終えることができました。成人式の着付けは、11月の詩吟大会の着付けのように、ぶっつけ本番で、結果皆で100人着せたというものとは違い、何箇所もの美容室等、早くから予約を受けての着付けになりますので、受けた人はすべて、前日の着物小物の確認をして、当日早朝より時間に追われる着付けになります。

 松山校では、今年は、毎年活躍していたうち2人が、出産後のお子さんのことで無理ということで進めていましたが、他に体調を壊している人がいて、予定を作り直すことになりました。いつも言っているように、私は個人の事情を第一優先にしていますので、メンバーが協力をして乗り越えることになりました。もう何年も私自身が美容室等の出張着付けをすることはありません。今回も私が代わりに行けば済むことも分かってはいましたが、方法はあると判断をして、予定一覧表の作り直しになりました。全体をまとめる担当者が、皆の協力を得て、見事にまとめてくれました。皆で調整をして一丸となって、ひとつのことを終える。苦労しただけ達成感と充実感は大きいものです。

 終了するとそれぞれメールが入ります。その日は早朝から大変だったことは分かります。特別の事がない限り、「お疲れ様」 とねぎらいの言葉だけです。後日研究会には、それぞれの現場の報告と、自分たちには常識であっても、今の二十歳の人には思いがけないことがあったりするので実例を挙げ、共有し、対処の方法を考えます。当日はスピードを求められるので前日点検確認に行きますが、ご本人にはお会いできないので、当日思わぬところに時間がかかることがあります。
私がこの研究会を、日を改めてするのは大きな理由があります。着付けをした日は終えただけで充分です。当日自分の中で100点でなくても、無事終わったことで、ある達成感があるはずです。日を改めて研究会でするのは、全員が冷静に、さらに上を目指して、共に学ぶ姿勢になっていることです。それぞれ実例を挙げて対処の仕方を勉強します。

 松山校は高校時代の友人を中心に多くの方のお世話になり、開校して24年目に入りました。
今は、こういう考えで、本気で、 「自分を高め、人のために」 という人達が何人もいます。できるだけそういう人達が活躍できるようにと思っていますが、今では私が皆に助けられています。着物を着る、着せる、変わり結びを沢山教えるということだけでなく、ずっと私が考えていた 「着物を通して、女性として・・・母として・・・ 人として・・・」 を大きな目標にしていることを理解してくれる人も多くなりました。 

 そうそう、今回のテーマは、成人式に 母の想い と 母の役割 についてでした。親にとっては娘の成人式の振袖姿を見るのは、格別の想いがあります。着物をあまり着たことがないお嬢さんは足袋や下着のことはお母さんが見てあげていただきたいと思います。当日足袋の寸法が合わない、履けない、という方がたまにあります。足袋の履きかたにはコツがあります。かかとの方を半分外に折り返し、指先の方を先までしっかり入れて、それからかかとをかぶせます。こはぜは下から順番に。新しい草履は鼻緒がきつくて履きにくいこともありますので、お母さんは、足袋と草履をお家で履いてみるように手伝ってあげてください。最近は爪を伸ばしている人が多く、自分で足袋を履くのに時間がかかるようですので、練習をしておいていただくと着付けの時間の点でも助かります。

 この年代の女性は流行に敏感で、みんなと同じように、そしてその反面 「より豪華に目立つように」 を求める傾向があります。私はこの道を歩いて来て、ずっとそのことが気になっていましたが、いつの頃からか、二十歳が一つの節目だからそれはそれでいいと思えるようになりました。この時期が節目で、だんだん歳を重ねていくことで、シンプルに着物を着ること、着物姿の立居振舞も知り、大人の女性として少しずつ変わっていくのを感じるかもしれません。これもお母さんとしてはうれしいことでしょう。

 最後にショールの扱いについて一言。今年のように寒さが厳しい、会場の暖房が効いていない、風邪を引いていて寒気がする等は別ですが、会場の中、特に式典では、ショールをとるのがマナーであることは心得ておきましょう。代表で前に出る人は寒くても必ずとります。外でも、改まって挨拶をしなければいけない方に出会った時は、バックはできれば左手に通し手早くショールを右手で取り、左手の腕にかけ、一瞬立ち止り、右手だけ膝に、笑顔で会釈。ペコペコ何度も、また深々と頭を下げることはNG 。丁寧すぎる挨拶は先方が困ることもありますので、女性は特に、これも知識として、覚えておきましょう。こういうことを知っているとその都度その時々に、自分で判断できる素敵な女性に・・・。


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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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