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<2017年1月>

 

新年に思う自分の役割

 2017年(平成29年)あけましておめでとうございます。
それぞれ、年の初めに今年の目標のようなものを考える方もおられると思います。私は大きいイベントがある年以外はいつもと同じように進めてきた方ですが、昨年末頃、背中を押されるように、今年自分がするべきことがはっきりしてきました。

 どんな立派な言葉が出てくるだろうと期待した方もおられるかもしれませんが、とりあえずこんなお話です。先日、「知恵袋」を何気なく見ていたら、「コーリンベルトは誰が考えたのですか? コーリンという人ですか。カタカナなので外国人ですか。着物に使うものですよね・・・」 という質問がありました。不思議なこと、分からないことがあったら、また悩んでいて誰かに聞いてほしい、回答がほしい人達が気軽に質問をし、色々な人が回答をするインターネットの質問サイトです。暇な時、時々見ますが、今の人達が何を考えているか色々なことが分かりそれはそれで、意味があります。

  そこでコーリンベルトのお話です。私が所属している全国きもの指導者協会の創始者、高林(たかばやし)三郎先生は、着物は日本髪を結っていた頃と形がほとんど同じで、洋服中心の生活様式も変わってきたこの時代には、着物は特別のもので、「美しく」 を求められ、ハードルが高くなった。洋服に比べて 「難しい」 「苦しい」 「面倒」 と、着物離れが進んできたことを憂い、簡単に楽に着ることができる方法を考えるべきと、コーリンベルトを考案されました。先生のお名前から名付けられたこのコーリンベルトは、全国に広まりました。同じ思いの人が多かったのだと思います。現在でもほとんどの人がお持ちです。正確には、登録商標なので似たものでもその名前は使えません。各社から色々な名前で出ています。ところが、現状はどこの製品でもほとんどの人がコーリンベルトと言っています。

 この頃から各社で色々な着装具が出て広まっていきました。ただ、色々なメーカーと、指導のあり方から、例えば 1,2回の団体の講習会に、「セットで着装具を買ったけれど使い方が分からない」 等、問題があり、一部で着装具離れの方向に向かいました。その頃私の教室でも、入学問い合わせの電話で、「紐で」 と希望する方もありました。私はこれまで色々な物を試してみました。現在、自分で着るには 「絶対」 と言っていい着装具が2点あります。正しい使い方となぜそうするかという理論を合わせてきちんと伝えることが何より必要です。そのことはまたの機会に。

 私の所ではほとんどの人がこの 2点は使用していますが、プロ科、着付士養成では、すべて紐を使います。何故なら、先方が紐をお持ちだからです。(コーリンベルトは多くの方がお持ちですが) プロは先方がお持ちの物で着付けをしなければいけません。どんなことにも対応できることを基本に行っています。成人式等でも、必要な物、物の名前が分からない人が多く、この日は多くの人を着せるので、短時間でできるように、事前の準備を綿密に行います。

 高林先生には、広衿ではなく 「ばち衿」 でさらに細く、袂の丸みは大きく、袖丈は・・・と細かく指導していただき、それをそのままではなく、これらを基に色々な面で真剣に検討する機会を与えていただいたと思います。先生がずっとおっしゃっていたことを別の角度から気づき納得したことがあります。これは私の表現ですが 「何事も、大切な物を守り伝えていくには、多くの人の意識を変えていくには、現状を把握した上で、ある意味これまでの常識を変え、大胆な発想と大胆な伝え方が必要である」 ということです。

 私は、先生の大胆な発想と、男性でありながら、きめ細やかな教えと、そのバックにある着物への思いを、ここ何年かとても強く感じるようになりました。私の所属するところは、流派ではなく指導者協会です。時代も少しずつ変わっていく中で、先生の教えを基にすべてその通りでなくても、現状を把握し、長年自分で着物を着て、また、指導をしてきて気づいたこと、工夫をしたこと等を合わせて、次の人達に伝え託すことが、最近感じる、背中を押される使命感のようなものだと思うようになりました。
これまで多くの師範・講師を養成してきました。着物が好きで、学び、資格を取得した人達へ、このことを改めて伝え、託し、それぞれの生活の中で実際に動ける人は活動し、もちろん、現在動けない人も、気持ちの中にこのことをおいていてほしいと、心から願っています。

 太田駅でお別れした高林先生のことを思い出します。 → 2006年10月恩師高林三郎先生


【着物のつどい】

「着方の基本 この3つを守れば誰でもきれいに着られる」

毎年行われる「着物のつどい」ではミニショー等がありますが、今年は学院長による着方の基本を分かりやすく、理論と実践でお見せします(食事前30分)
かざみ会員には別途案内状を差し上げますが、どなたでも参加できます。
お誘いあわせの上ご参加下さい。 

      本 校 2月26日(日) 12:00〜14:30 太田ナウリゾートホテル
      松山校 3月12日(日) 12:00〜14:30 国際ホテル松山

【お問い合わせ】 かざみきもの学院 watanabe@kazami.com
      本 校 0276-62-2110
      松山校 089-922-5180


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渡部捷子

渡部捷子へのメールは watanabe@kazami.com まで

 
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